コリジョンコース現象はありえない?いえ、事故対策が必要です。
コリジョンコース現象(collision course phenomenon)とは、そのまま進み続ければ衝突するであろう一点に向かって等速直線運動をしている2つの車両(航空機の場合も)同士が、視界が良好な場合であってもお互いを早期に視認することが著しく困難であるという現象です。
視界が良好なのであれば、ちょっと注意すれば防げるのではないかと思われますが、実は結構起こっている現象で、事故につながるケースも多々あります。
今回は、コリジョンコース現象について解説しますので、ぜひご参考にして、事故のないカーライフを送りましょう。
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INDEX
コリジョンコース現象はなぜ起こるのか
コリジョンコース現象は、同じ速度や角度で直角に交わる十字路に近づく車両同士が、お互いに気づかず衝突してしまう現象です。
この現象の原因のひとつに、人間の視覚的な錯覚にあります。例えば、自分が運転する車と同じ速度で横から車が近づいてきても、常に同じ角度(斜め約45度)に車が見える状態だと、車が止まっているように感じてしまいます。
さらに、運転席から見た場合、斜め約45度の角度はフロントガラスを支えるピラーの位置と一致します。これが死角となり、相手の車両がピラーの陰に隠れてしまうことで、相手車両が止まっているように見える錯覚が生じます。
「見通しのいい交差点で衝突するなんてありえない」と感じるかもしれませんが、実際にコリジョンコース現象は見通しのいい交差点でも起こり得るのです。この現象を理解し、注意深く運転することが重要です。
またコリジョンコース現象が発生する原因には、以下のようなものも挙げられます。
- 人間の視野は限られているため、遠くにいる物体はすぐに認識できない。
- 人間は動いている物体を認識するのが苦手である。
- 車のスピードが速いほど、衝突までの時間が短くなる。
1つずつ見ていきましょう。
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人間の視野は限られているため、遠くにいる物体はすぐに認識できない
人間の視野は約180度です。これは、私たちが一度に見える範囲です。
しかし、私たちの視力は、遠くにある物体を見るのにはあまり向いていません。
草食動物である、馬などは視界が広く、肉食動物は距離感を掴むのに強いのですが、人類の目は器用貧乏な部分があり、そこまで発達していないのです。
遠くにある物体から私たちの目に届く光が、近くにある物体から届く光よりも弱いことも起因します。
弱い光は、私たちの目に届くまでに散乱してしまうため、遠くにある物体をはっきりと見ることができません。
また、遠くにある物体は、近くにある物体よりも小さく見えることも、私たちが遠くにある物体をすぐに認識できない理由の一つです。
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人間は動いている物体を認識するのが苦手である
実は人間は、動いている物体を認識するのが苦手です。これは、人間の目が、動いている物体を追跡するのにあまり向いていないためです。
人間の目は、静止している物体を見るのにはとても適していますが、動いている物体を見ようとすると、目の筋肉が追いつかず、物体がぼやけて見えてしまいます。
例えば、野球のボールを打つとき、私たちはボールの動きに合わせてバットを振る必要があります。
しかし、ボールが速く動いていると、私たちの目の筋肉が追いつかず、ボールがぼやけて見えてしまいます。
また、脳もボールの動きを追いきれず、ボールを認識することができなくなります。
そのため、私たちはボールを打つことが難しくなります。
ボクシングなどの速いパンチを読む動作も、実はパンチ自体はあまり把握できていなくて、パンチの前の肩の動き、目線の動きなどから予測してガードやダッキング、スウェーバック、バックステップなどの動作を行ないます。
あくまで対応しているのはパンチそのものよりも予備動作からの予測なので、フェイントが有効とされますし、見えない角度からのパンチはダウン率が高い傾向にあるのです。
本題に戻りますが、車の運転中にも、動いている車を認識するのが難しい場合があります。
車が速く動いていると、私たちの目の筋肉が追いつかず、車がぼやけて見えてしまいます。
また、脳も車の動きを追いきれず、車を認識することができなくなります。
そのため、私たちは車を避けることができず、事故につながる可能性があるのです。
車のスピードが速いほど、衝突までの時間が短くなる
車のスピードが速いほど、衝突までの時間が短くなるのは、次の理由からです。
- 車のスピードが速いほど、停止するまでの距離が長くなる。
- 車のスピードが速いほど、反応するまでの時間が長くなる。
例えば、車が時速60kmで走行している場合、停止するまでの距離は約27mになります。
反応するまでの時間は、平均で約1.5秒です。そのため、衝突までの時間は、約28.5秒になります。
一方、車が時速100kmで走行している場合、停止するまでの距離は約54mになります。反応するまでの時間は、平均で約1.5秒です。そのため、衝突までの時間は、約55.5秒になります。
このように、車のスピードが速いほど、停止するまでの距離が長くなり、反応するまでの時間も長くなるため、衝突までの時間が短くなります。
そのため、車を運転する際には、スピードを守り、安全運転を心がけることが重要です。
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コリジョンコース現象に対する事故対策
コリジョンコース現象を防ぐためには、視覚的な錯覚を解消し、運転者の意識を高めることが重要です。
特に交差点では、左右に目を配り、他の車両の存在を確認することが大切となります。
コリジョンコース現象を防ぐためには、以下の点に注意する必要があります。
- 交差点では、十分に減速して、交差点を横断する車両に注意する。
- 交差点では、車間距離を十分に保つ。
- 交差点では、車両のサイズや形状に注意する。
コリジョンコース現象は、交通事故の原因となる危険な現象です。
運転中は、十分に注意して運転しましょう。
次にこの3つの策についてさらに掘り下げたいと思います。
交差点では、十分に減速して、交差点を横断する車両に注意する
交差点では、十分に減速して、交差点を横断する車両に注意することが重要ですが、具体的には、以下の点に注意してください。
- 交差点に近づく際には、十分に減速する。
- 交差点を横断する車両や歩行者がいるかどうかを確認する。
- 交差点では、左右に注意して走行する。
- 交差点を通過する際には、スピードを出すのを控える。
これらの点に注意することで、交差点での事故を防ぐことができるでしょう。
交差点では、車間距離を十分に保つ
言うまでもないかもしれませんが、車間距離が十分にないと、急ブレーキを踏んだときに追突する可能性があります。
また、交差点では、右折車両や左折車両が突然飛び出してきたりすることがあるため、車間距離を十分に保つことで、これらの車両に追突するリスクを軽減することができます。
車間距離を保つためには、具体的に以下の点に注意してください。
- 前車の車輪と自分の車輪の距離を約2台分を目安にする。
- 前車がブレーキを踏んだときに追突する可能性がある場合は、さらに車間距離を広げる。
- 交差点では、車間距離をさらに広げる。
これらの点に注意することで、交差点での事故を防ぐことができます。
また、コリジョンコース現象と直接関与するわけではないですが、交差点では、以下の点にも注意してください。
- 交差点の近くでは、子供や高齢者が歩いていることが多いので、特に注意する。
- 夜間は、視界が悪くなるので、さらに注意する。
- 雨や雪が降っている場合は、路面が滑りやすいので、スピードを控える。
これらの点に注意することで、交差点での事故をさらに防ぐことができます。
交差点では、車両のサイズや形状に注意する
交差点では、車両のサイズや形状に注意する必要があります。
これは、車両のサイズや形状によっては、視界が遮られ、対抗車両や歩行者に気づきにくいことがあるためです。
特に、大型トラックやトレーラー、バスなど、車体が大きい車の後ろだと、視界が遮られやすいため、交差点では特に注意が必要です。
また、車両の形状によっては、交差点を横断する車両や歩行者に気づきにくいことがあります。
例えば、スポーツカーやクーペ、セダンなどは、車高が低く、視界が遮られやすいため、交差点では注意が必要です。
交差点での事故を防ぐためには、車両のサイズや形状に注意し、十分に減速して、交差点を横断する車両や歩行者を確認することが重要となります。
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そもそもコリジョンコースとは?
コリジョンコース(Collision Course)とは、物理学や宇宙科学において使用される用語で、2つ以上の物体や天体が互いに接近し、将来的に衝突する可能性が高い軌道を取っている状態を指します。
宇宙科学においては、コリジョンコースは特に衛星や宇宙船などの人工物が関与する場合に重要です。
宇宙空間には多くの人工物が存在し、これらの物体が互いに衝突する可能性があるため、軌道計算や監視が重要な役割を果たします。
衝突が発生すれば、物体同士の衝突による破片が発生し、さらなる衝突リスクを引き起こす可能性があります。
衛星や宇宙船の運営者はコリジョンコースを避けるために、衛星の軌道調整や軌道維持のための推進システムを使用するなどの対策を講じます。
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コリジョンコース現象が検出された場合の処置
コリジョンコース現象は、地球周回軌道上の人工物に関連して話されることが多いですが、他の天体の間でも発生する可能性があります。
宇宙空間は広大であり、物体同士の正確な位置と速度の予測は困難を伴います。
そのため、コリジョンコースを避けるためには、正確な観測データと高度な軌道計算が必要とされます。
重要なポイントとして、コリジョンコースが検出された場合、関係する組織や機関は通常、物体の軌道を修正するための手段を検討し、衝突を回避するための行動を取ります。
これには、軌道変更のための推進システムの使用、軌道上の他の物体との間隔を増やすための軌道調整などが含まれます。
コリジョンコースは非常に複雑な問題でありますが、軌道計算や衝突回避の手法は常に進化しています。
国際的な協力やデータ共有が重要とされており、さまざまな組織や機関が監視や予測に取り組んでいます。
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まとめ
コリジョンコース現象による事故を防ぐためには、車両の速度を落とし、交差点を通過する際には十分に注意する必要があります。
また、交差点では、左右に目を配り、他の車両の存在を確認することが大切です。
コリジョンコース現象が起因する事故は、以下の要因により発生すると考えられています。
- 人間の視野の特性、錯覚
- 車両の速度
- 車両のサイズ
- 交差点の形状
事故を防ぐためには、以下の点に注意する必要があります。
- 交差点では、十分に減速して、交差点を横断する車両に注意する。
- 交差点では、車間距離を十分に保つ。
- 交差点では、車両のサイズや形状に注意する。
コリジョンコース現象は、交通事故の原因の一つです。
この現象を理解し、対策することで、交通事故を防ぐことが大切です。