電気自動車(EV)の航続距離はどれくらいなのか?ガソリン車との違いも解説

EVは電気を動力として走る車の全般を指します。

補助金制度や減税制度が設けられており、電力を利用することからランニングコストも抑えられるメリットがあります。

今後広く普及されていくことが見込まれているものの、まだまだ情報が少ないのが現状で、車両価格も高い上にどのくらい充電したら帰って来れるのかなどと不安になられる方も多くいらっしゃいます。

この記事では、EVについて概要に触れつつ、完全に充電した状態から連続でどのくらいの距離を走れるのか(航続距離)、ガソリン車から乗り換えても不便さを感じないかなどEVに関する情報を紹介していきます。

関連記事:【2023年】日本の電気自動車(EV)一覧!メリット・デメリット・ランキングも紹介!

EVとはどんな車か?

EVとは「Electric Vehicle」の略称であり、バッテリーが搭載され電気を動力として走行する車のことを指します。

日本においては、ガソリンを使わずに完全に電気のみで走る車のことを指すことが多いですが、そのような車は海外ではBEV(Battery Electric Vehicle)と呼びます。

電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などにおいては、自宅やコンビニ、商業施設などに設置されている充電装置を使用してバッテリーを充電し、蓄えた電気でモーターを動かすことで走行します。

ここでは、EVの特徴を紹介します。

関連記事:PHV(PHEV)とはどんな車種?電気自動車(EV)との違いやおすすめの3台を紹介

関連記事:電気自動車(EV)の仕組みって?種類や充電方法、SDGsへの貢献を解説

環境にやさしい

ガソリン車においては、走行時に排出される排気ガスが地球温暖化を加速させる要因となってしまいます。

EVにおいては、電気を動力として走行するため、排気ガスを出さない点が大きな特徴であり、環境に優しい仕様となっています。

EVが広く普及し、多くの人が利用することでガソリン車から排出される排気ガスの量を減らし、地球温暖化防止に貢献することができます。

関連記事:電気自動車の普及率ってどの程度?日本や世界の普及率について紹介

災害時の動力源になる

EVは、動力源として搭載されているバッテリーに電気を充電します。

そのため、バッテリーが十分に充電されている状態であれば、災害時に非常用電力として使用することができます

スマートフォンの充電や冷暖房、冷蔵庫への電力供給など、災害時に電力を確保できることで最低限のライフラインを保つことができます。車を蓄電池として扱えるというイメージです。

非常用だけでなく、車から家へ、家から車へといった電気のやりとりをする、V2H(Vehicle to Home)などを活用して電気代の節約にもなります。

関連記事:V2Hで電気代は安くなる?V2Hのメリットとデメリットについても解説

EVの航続距離はどのくらい?

ここでは、EVの航続距離について紹介していきます。

EVにおける航続距離とは、完全に充電した状態からどのくらい連続で走行できるのかの距離を表し、公式Webサイトなどに掲載される車両諸元表においては「一充電走行距離」という項目で記載されます。

こちらがWLTCモードという燃費基準における正しい表記の仕方ですが「航続距離」「電費」などとも呼ばれます。

一充電走行距離についてはガソリン車の燃費と同じように、実際には道路の形状や冷暖房の使用有無など使用状況によって変動するため、目安の数値として参考にしましょう。

EVの航続距離は、一般的には200km~600km程度となります。

バッテリーの性能によって航続距離が変動するため「駆動用バッテリー容量」の数値も併せて確認しておきましょう。

EVの購入を検討する際には、日常使いがメインなのか、遠出するために使用することも多いのかなど購入後の使用状況を考慮して航続距離を判断することがポイントです。

例えば航続距離が200km程度の場合には、近場への運転がメインであれば大きな心配はいりませんが、遠出をする場合には途中で充電が必要となる可能性が高くなります。

そのため、道中に充電できる場所があるかどうかまで事前にリサーチしておく必要があります。

関連記事:電気自動車の一充電走行距離の目安は?影響を与える要素や安心して乗るコツを紹介

ガソリン車とEVの航続距離の違いについて

航続距離について、EVとガソリン車では差があるのでしょうか。

EV車の航続距離が200~600kmであるのに対し、ガソリン車の場合は航続距離が500kmを超える車が多く、1500km以上走れる燃費の良い車もあります。

そのため、EVはガソリン車に比べて航続距離が比較的短いということがわかります。

ガソリン車と同じ感覚でEVに乗ると、長距離ドライブへ出掛けた際などに充電の面で不便さを感じることもある点を覚えておきましょう。

関連記事:電気自動車の充電料金はどれくらい?抑えるコツやガソリン車との比較を紹介

国産EVの航続距離はどのくらいなのか?

ここでは、トヨタ、ホンダ、スバル、日産、マツダの4つのメーカーのBEVについて航続距離を紹介していきます。

各社が発表している数値については以下の通りとなります。

メーカー車種航続距離(km)
トヨタbZ4X559
ホンダHonda e259
スバルソルテラ567
日産アリア470
マツダMX-30 EV MODEL256

トヨタ bZ4X

bZ4Xは、2022年5月に発売された重厚感のあるSUVタイプのEVです。

航続距離は559kmであり、比較的長距離を走行できるのが特徴です。

オプションでソーラールーフを搭載することができ、充電プラグだけでなく、太陽光も利用して電気を蓄えられます

関連記事:トヨタのBEV戦略|販売台数100%を目指さないワケと技術開発について

スバル ソルテラ

トヨタ bZ4Xの姉妹車であるスバル ソルテラの航続距離は567kmとなっており、装備面での違いから多少の差はありますが、bZ4Xとほぼ同じ性能となっています。

関連記事:スバルの電気自動車(EV)であるソルテラとはどのような車なのか?

ソルテラみにバナー

ホンダ Honda e

2020年10月に発売されたコンパクトなEVです。

都市での日常使いでの走行を想定して設計されているため、最小回転半径4.3mと小回りが利き、航続距離は259kmとなっています。

関連記事:Honda e の航続距離はどのくらい?特徴や日産リーフとの比較を解説

関連記事:女性に大人気のおしゃれでかわいいコンパクトカーを紹介

日産 アリア

2022年1月に発売されたSUVタイプのEVです。

路面状況や走行に合わせて、自動で4輪のトルクを制御するe-4ORCEという技術を搭載しており、滑らかで快適な走りが楽しめます。

航続距離は470kmと比較的長く、日常使いにも長距離ドライブにも対応できる仕様となっています。

関連記事:【日産アリア】米Wards社の「10ベストインテリア&UX」にも選出された内装デザインを解説

MAZDA MX-30 EV MODEL

2021年1月に販売開始されました。

他車種に比べて、大きくて早く着手したこともあり、航続距離は短いですが、ガソリン車とほぼ変わらないデザインを保っています。

今後のマツダのEV戦略のパイオニアモデルとなり、今後に期待できる結果となりました。

関連記事:マツダ MX-30(EV)の航続距離はどのくらいか?特徴と電費を抑えるポイントをご紹介

実際にあると良いEVの航続距離

車のメインの使い方によっておすすめの航続距離が異なります。

日常使いなら200km程度

通勤や買い物など、日常的に車を使うもののそこまで長距離の運転には用いない、という場合は200km程度の航続距離であるEV車がおすすめです。

一度に走る距離が20〜30kmほどであれば、航続距離に関して深く悩む必要もないでしょう。

自宅の駐車場に充電スタンドを設置できるのであれば、1日車を使用しても電池切れになることはありません。

ガソリン車と比べ、充電が家でできるというのもEVの魅力の1つです。

ロングドライブなら400km以上

休日の遠出が趣味の方は400km以上のものがおすすめです。

400km以上であれば、ロングドライブでも安心できますが、出先でも充電スタンドの場所を把握しておくとよいです。

ガソリン車も同様ですが、休みも工程に組み込んで予定を立てるようにしましょう。

ちなみに、航続距離を見て車を選ぶ場合、カタログに記載されている値と実際の値は異なるということを念頭においておきましょう。

実際の数値は道路状況や運転方法、外気温などで変化するためです。

およそ7割程度で考えておくと良いでしょう。

例えば450kmの航続距離だとカタログに記載があった場合、実際の航続距離は300kmほどと考えておくと購入した際に大きな差異なく乗車ができます。

関連記事:これから車を買うなら電気自動車(EV)?今後の展開も予想

EVに乗る際に気を付けたいポイント

今後広く普及される見込みとなっているEVについて、運転する際にはどんな点に気を付けておけばよいのでしょうか。

ここでは、EVに乗る際に気を付けたいポイントを紹介していきます。

関連記事:クルマが走るにはエネルギー補給が必要 EV充電の初心者マニュアル[MJ]

充電スタンドの位置を確認しておく

EVはガソリン車よりも航続距離が短いため、遠出をするときには途中で充電する必要があります。

充電スタンドはガソリンスタンドのように数が多くないため、事前に確認しておかないと充電切れを起こしてしまう可能性もあります。

そのため、EVで遠出をする際には、事前に充電スタンドがどこにあるのかを確認し、把握しておくことが大切です。

サービスエリアや商業施設などに設置されていることが多いため、充電時間も考えながら、途中休憩を挟むなど時間的に余裕をもって計画するよう心掛けましょう。

充電に時間がかかる

ガソリン車がガソリンスタンドで給油をするときにかかる時間は、満タンにする場合であっても5分程度です。

これに対し、EVは充電完了までに長い時間を要します。

EVは普通充電もしくは急速充電でバッテリーを充電できますが、急速充電でも30分程度かかり、普通充電では10時間近くかかる場合もあります。

遠出する際には、移動距離と充電タイミングを考え、ガソリン車よりも時間がかかることを考慮してスケジュールを組みましょう

歩行者が接近に気づかない可能性がある

EVは電気の力でモーターを動かすため、エンジン音がありません。

そのため、風切り音や走行音のみであり、ガソリン車よりも静かな状態で走行できます。

しかし、エンジン音がしないことで歩行者が車の接近に気付きにくくなります。

そのため、運転の際にはその性質を理解し、ガソリン車の場合よりも一層歩行者の挙動に注意して運転する必要があります。

カタログ値と実際の航続距離との違いを考慮する

カタログに記載されている航続距離と実際の数値では異なることを考慮した上で車を選びましょう。

実際の航続距離はその御日の気温やアップダウン、道路環境、加減速の仕方などさまざまな要因で変化するためです。

冷暖房の使用状況などによっても電力の消費量は変わります。

関連記事:車のボディタイプ一覧!特徴や選び方、おすすめを30種紹介!

まとめ

EVは電気を動力としてモーターを動かし走行する車です。

排気ガスを出さないため環境に優しく、国からの補助金がある場合も。

EVはガソリン車よりも航続距離が短い車が多いものの、500km以上走行できるEV車も出てきており、街乗りだけでなく長距離ドライブにも対応できるようになってきています。

ただし、遠出をする際には事前に充電スタンドの位置を把握しておくことが重要であり、充電に時間を要することから時間的な余裕を持った計画にしておく必要があります。

各メーカーで引き続きEVの開発に注力しており、航続距離についても今後より高い性能の車が出ることが期待できます

EV市場や技術は進歩が速くさまざまな動きが見られるため、今後も注視しておきましょう。

この記事を書いた人

自動車ニュースのWEBマガジン

カーナレッジ編集部

カーナレッジはクルマの知識をわかりやすく提供する自動車ニュースメディアです。新車・中古車の最新情報やメーカー・ボディタイプ・メンテナンスなどの基本知識まで。自動車のことがすべて分かるWebマガジンです。

関連する記事

カテゴリーから記事を探す

error: このページの内容は保護されています。