フェード現象とは?ベーパーロック現象との違いや原因・対策も解説
自動車学校で習う様々な現象は、通っている時は異様に覚えていても卒業して普通に運転する生活を送っていると忘れていってしまいがちです。
特にフェード現象は、同じような言葉である「ベーパーロック現象」の強そうな響きに押されて本気で覚えていない方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなフェード現象について解説しますので、ぜひもう一度思い出してあげてください。
フェード現象も危険な現象であることに変わりはありませんので、再度復習し、対策を練ることで運転に対する危ない要素が一つ減るでしょう。
関連記事:ベーパーロック現象とは?ブレーキが効かなくなった際の対処法も解説
INDEX
フェード現象とは
フェード現象とは、自動車やバイクなどのブレーキを連続して使用した結果、ブレーキパッドが過剰に熱されてしまい、ブレーキの効きが低下する現象です。
ブレーキをかける際には、ブレーキパッドが摩擦することで車を減速させますが、ブレーキを連続して使用するとブレーキパッドが熱くなります。
ブレーキパッドが過熱すると、摩擦係数が下がってブレーキの効きが悪くなるだけでなく、ブレーキパッドが焼けてガス化し、ブレーキパッドがローターに密着しなくなることでもブレーキの効きが低下します。
関連記事:車のブレーキが効かない原因とは?対処法と併せて解説!
ベーパーロック現象との違いは?
フェード現象とベーパーロック現象は、どちらもブレーキが効かなくなる現象ですが、原因が異なります。
フェード現象は、ブレーキを連続して使用することでブレーキパッドが熱くなり、摩擦係数が低下してブレーキの効きが低下する現象です。
ベーパーロック現象は、ブレーキフルードが沸騰して気泡が発生し、ブレーキペダルがフワフワしてブレーキが効かなくなる現象です。
フェード現象は、長距離を走行したときや、急ブレーキをかけたときに起こりやすく、ベーパーロック現象は、長時間の坂道走行や、高温の環境で運転したときに起こりやすいです。
フェード現象を防ぐためには、ブレーキを連続して使用しないようにし、ブレーキをかける際には、強くブレーキをかけすぎないようにすることが大切です。
ベーパーロック現象を防ぐためには、ブレーキフルードの劣化を防ぐために、定期的に交換することが大切です。
フェード現象やベーパーロック現象はどちらも起こると、車の制動距離が長くなり、事故につながる危険があります。
関連記事:ベーパーロック現象とは?ブレーキが効かなくなった際の対処法も解説
フェード現象を防ぐには
フェード現象を防ぐためには、次の点に注意しましょう。
ブレーキパッドの加熱防止
ブレーキパッドは、加熱により摩擦性能が低下します。
ブレーキパッドが加熱しにくいように、緩やかな減速を心がけることが重要です。
また、ブレーキの効きが悪いと感じた場合は、一旦車を休ませてブレーキパッドを冷却する方法も有効です。
フットブレーキを多用しない
フェード現象は、フットブレーキの多用によって発生するケースが多くあります。
特に坂道などで、フットブレーキを多用してしまうとブレーキパッドが加熱され、フェード現象が発生しやすくなります。
日頃から、フットブレーキとエンジンブレーキと併用して走行することを心がけましょう。
ブレーキパッドの定期的な点検
ブレーキパッドが摩耗していると、フェード現象が発生しやすくなります。
一般的に、厚みが3mmになったタイミングや、走行距離が50,000kmを超えたタイミングで点検すると良いとされています。
関連記事:ブレーキパッドの値段は?交換時期や費用の目安も解説
運転中のフェード現象の対策
フェード現象は、ブレーキの効きが低下して、事故につながる危険があります。フェード現象を防ぐために、正しいブレーキ操作を心がけましょう。
以下の2つは、フェード現象を防ぐための具体的な対策です。
- 長い下り坂を走行するときは、エンジンブレーキや減速帯を活用して、ブレーキの使用を減らす
- 急ブレーキをかけるときは、ブレーキを強くかけるのではなく、ゆっくりとブレーキをかける
要はエンジンブレーキを上手に活用し、フットブレーキの使用頻度と強度を小さくすればいいので、スピードを出しすぎないことも重要です。
関連記事:エンジンブレーキで燃費は向上する?仕組みやメリットをご紹介
フェード現象の前兆
フェード現象の前兆には、次のようなものがあります。
ブレーキの効きが急激に低下する
走行中にブレーキの効きが悪いと感じた場合、それはブレーキパッド等の過度な加熱によるものかもしれません。
その際は速やかに車を停車させて、ブレーキパッドを休ませましょう。
ブレーキをかけたときに異常な音や異臭がする
ブレーキをかけた際に、「キーン」などの異常な音が聞こえる場合があります。
その際は、ブレーキパッド等をすぐに点検し、必要に応じて交換しましょう。
また、ブレーキをかけた際に焦げ臭いなどの異臭がする場合も同様です。
フェード現象が起きた場合の対処法
フェード現象が起きたら、以下のような対処法があります。
まずは、エンジンブレーキやシフトダウンを使って、ブレーキをゆるめて、車のスピードを落としながらブレーキパッドを冷やします。
ゆっくりと走り、風があたることでブレーキが冷えていきます。
急激に冷やすと、かえってブレーキローターが壊れる原因にもなるので、あくまで自然な風で冷やすことが重要です。
ゆっくりと走ることの難しい場所では、安全に配慮した上で車を停車させます。
特に高速道路ではパーキングエリアなどで30分ほど車を休ませた方が良いでしょう。
関連記事:高速道路でエンジントラブルが起こる原因と対処法について
ウォーターフェード現象
同じような摩擦係数が低下することでブレーキ性能が下がる現象としてウォーターフェード現象が挙げられます。
ウォーターフェード現象とは、ブレーキパッドが水に濡れた状態を長時間続けることで、ブレーキパッドの摩擦係数が低下し、ブレーキの効きが悪くなる現象で、雨天走行や水溜まりを通過したときに起こりやすいです。
ウォーターフェード現象の注意点
ウォーターフェード現象を防ぐためには、次の点に注意してください。
- ブレーキパッドを定期的に交換する
- 雨天走行の際は、ブレーキを急激にかけすぎない
- 水溜まりを通過した際は、ブレーキをしばらく踏み込まない
ウォーターフェード現象が起こると、ブレーキの効きが悪くなるため、車の制動距離が長くなり、事故につながる危険があります。
また、ハイドロプレーニング現象とも発生する条件が似ています。
ハンドル操作もブレーキ操作も効かなくなったら大変危険ですので日頃の注意とメンテナンスが必要です。
関連記事:ハイドロプレーニング現象って何だっけ?原理から対策まで解説
ブレーキパッドの交換時はフェード率の低いものを
フェード率とは、ブレーキパッドを摩擦させる際に、ブレーキパッドの摩擦係数が低下する割合を表す値です。
フェード率が高いほど、ブレーキパッドの摩擦係数が低下し、ブレーキの効きが悪くなります。
フェード率は、ブレーキパッドの材質や摩擦面積、ブレーキパッドの厚みなどによって異なります。
一般的に、カーボンメタルパッドはセラミックパッドよりもフェード率が高いです。
フェード率を低下させるためには、ブレーキパッドの材質や摩擦面積を大きくしたり、ブレーキパッドの厚みを厚くしたりすることで、ブレーキパッドの摩擦係数を高くすることができます。
また、ブレーキパッドを定期的に交換することで、ブレーキパッドの劣化を防ぐことができますので、日頃から意識しておきましょう。