車検に通るタイヤの溝は何mm?スリップサインについても紹介
車検にはさまざまなチェック項目があります。
タイヤの溝もそのひとつで基準以上にすり減っている場合、車検不合格の原因となります。
では、車検で合格できるタイヤの溝のラインはどのくらいなのでしょうか。
この記事では車検に通る溝の深さの基準や、自分でできる溝のチェック方法を解説していきます。
車検を控えている人や車のメンテナンスに興味がある方は参考にしてみてください。
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INDEX
車検で確認されるタイヤの溝
車検では必ずタイヤの溝の深さをチェックされます。
タイヤの溝が一定の基準を満たしていない場合、道路交通法違反で罰則が課されますので注意しましょう。
最初に、タイヤの溝に関する情報を解説します。
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季節に合ったタイヤがある?
タイヤは「夏タイヤ」、「冬タイヤ」、「オールシーズンタイヤ」の大きく3つに分けられます。
夏タイヤ
夏タイヤは一般的に「ノーマルタイヤ」や「標準タイヤ」とも呼ばれており、オーソドックスな性能ゆえ春〜秋にかけての季節に合ったタイヤです。
冬タイヤ
冬タイヤは「スタッドレスタイヤ」とも呼ばれ、低温域でその力を発揮します。夏タイヤとゴムの性質が異なり、夏タイヤは気温が低くなると固くなってしまう一方、冬タイヤはそのしなやかさを保つ特性を持っているのです。
そのため、冬場は夏タイヤから冬タイヤに変更することをおすすめします。
オールシーズンタイヤ
オールシーズンタイヤは、夏タイヤと冬タイヤ両方のいいとこ取りをしているタイヤです。ドライ、ウェットなど関係なく安定した走行性を持つのが特徴です。
ならば、オールシーズンタイヤでよいのでは?と思われるかもしれません。
しかし、やはり積雪路面での走行性と安全性が確保できるとはいえ、冬タイヤと比べるとパワー不足な面も否めません。
積雪路面や雨で濡れた道にたいして特別に優れているわけではない、ということはしっかりと覚えておきましょう。
関連記事:タイヤの空気圧は夏と冬で違う?季節や気温によって適切な対応が変わるのか解説
そもそもなぜタイヤに溝が?
タイヤの溝は、簡単に言えば車体が滑らないようについているものです。
たとえば雨の日は、濡れた路面とタイヤの間に水の膜ができてしまい、タイヤが路面から浮いてしまう「ハイドロプレーニング現象」を起こす可能性があります。ハイドロプレーニング現象が起きると、ブレーキやハンドルが利かなくなり非常に危険です。溝の深さが十分にあれば雨をうまく排水してくれるため、タイヤが路面にしっかり食いつき、その現象を回避してくれるでしょう。
また、雨の日に限ったことではなく、摩耗によって溝が浅くなったタイヤで走行した場合、ブレーキ性能やハンドリングが悪くなります。
関連記事:ハイドロプレーニング現象って何だっけ?原理から対策まで解説
タイヤの溝が浅いと罰則を受ける可能性も
タイヤの溝が浅く、基準を満たしていない車では公道を走ることができません。
「道路運送車両の保安基準第9条」により、罰則や罰金が課せられてしまいます。
普通自動車の場合だと罰則(違反点数2点の加算)や罰金(9,000円)が課されます。
溝の適切な深さは?
タイヤの溝は深ければよいというわけでもなく、一定の溝の深さまではタイヤの性能に変わりはありません。
一般的にはタイヤの溝の深さが4mm以下になると、タイヤ性能が急落するとされています。
溝の深さが残り1.6mmを切ると、タイヤにあらかじめ仕込まれた「スリップサイン」が表面に現れます。安全走行のためにも、日頃からこのスリップサインが出ていないか確認しておくとよいでしょう。
車検におけるタイヤの溝の合格ラインは?
タイヤの種類を問わず、溝が1.6mm以上深ければ車検に合格できます。
ただしその合格ラインとは別に、高速道路の使用基準は車両の種類によって異なります。
高速道路ではタイヤの摩擦が起こりやすいため、以下のような違いがあります。
タイヤの種類 | 一般道路 | 高速道路 |
---|---|---|
乗用車用タイヤ | 1.6mm | 1.6mm |
小型トラック用タイヤ | 2.4mm | 1.6mm |
トラック・バス用タイヤ | 3.2mm | 1.6mm |
小型以上のトラックをメンテナンスに出す場合は、一般道路の基準だけでなく高速道路の基準をクリアしているかも確認しておく必要があります。
関連記事:タイヤのサイズを変更すると車検に通らなくなる?許容範囲を解説
タイヤの溝の深さをチェックする方法
愛車のタイヤ交換が必要かあらかじめ判断するために、車検の前にセルフチェックすることをおすすめします。
難しそうに思えますが、タイヤの溝の測り方は実は簡単なのです。
スリップサインを用いたチェック
スリップサインは、夏タイヤやオールシーズンタイヤの溝の深さが残り1.6mmということを示す目印です。サインが現れる場所がわかるよう、小さな三角形マークがタイヤの側面についていますので、それらをもとに確認してみましょう。
一般的なタイヤの溝の深さは新品の場合8mmとされています。
しかし、走行時の摩耗によってタイヤがすり減り溝の深さが1.6mm以下になると、三角形が示すところにスリップサインが出てきます。
スリップサインはタイヤの全周に4〜9個つけられており、その中の1ヵ所でも表示されていると車検に合格できません。
専用の道具を使って測る
正確にタイヤの溝の深さを測りたい場合は、「タイヤ溝ゲージ」や「ノギス(摩耗計)」と呼ばれる工具を使います。プラスチック製の簡易なものなら100円ショップでも購入できます。
【ノギス(摩耗計)・溝ゲージの使い方】
1.ノギスのゲージをタイヤの溝に対して垂直になるように差し込む。
この時、あまり強く差しこまないように。
(※スリップサインやプラットフォームの位置は避けましょう)
2.溝の最深部に当たるまでゲージをスライドさせる
3.目盛を確認する。
10円硬貨でもタイヤの溝がチェック可能
実は手持ちの10円硬貨でも、簡易的ではありますがタイヤの溝を測ることができます。
溝の深さが何mmか、までは分かりませんがタイヤ交換の目安を把握する程度ならば可能です。
10円硬貨でタイヤの溝を測る方法
数字が横になるようにしてタイヤの溝に垂直に差しこみ、絵柄を確認してみてください。
- (10円硬貨の柄の)葉の柄の上部まで隠れていれば問題なし
- 葉の柄の半分あたりでそろそろ交換
- 葉の柄が全て見えていると危険
冬タイヤの場合
冬タイヤは「スタッドレスタイヤ」とも呼ばれており、夏タイヤとはゴムの性質が異なっています。
冬タイヤが寒い季節にこそ活躍する理由は、低い気温で高パフォーマンスを発揮し、寒くてもゴムが固くならず高い走行性能を保つ特徴があるためです。
スタッドレスタイヤは「プラットホーム」で確認
スタッドレスタイヤでは、スリップサインの代わりに「プラットホーム」と呼ばれる突起が存在します。
この突起は、タイヤの接地面の溝の中にあり、新品の段階で目視することが可能です。
タイヤの側面に小さな矢印が90度間隔で配置してありますので確認してみましょう。
プラットホームは「スタッドレスタイヤとして使用できる限界ライン」を表しています。
タイヤが擦り減り、突起が表面にだんだん近づいてきます。溝の深さが50%以下になるとプラットホームが表に出てきます。そうなると冬タイヤとしての機能が発揮されなくなるため、タイヤを交換した方がよいでしょう。
プラットホームが露出しても通常のタイヤとしては使用可能であり、1.6mmの溝の残りがあれば車検も通ります。しかし、雪道や凍結した路面などは滑りやすく危険なため、プラットホームが表示された場合は車検の有無に関わらず、早めにタイヤを交換しておきましょう。
偏摩耗や変形が見られないかもチェックしよう
偏摩耗とは、タイヤが偏って摩耗した状態です。道路条件や運転のくせなどによりタイヤの外側のみや片側のみ、または真ん中のみが擦り減ってしまいます。
偏摩耗を放置すると排水性など、タイヤの性能を保つことができなくなり、タイヤの寿命が短くなります。
振動や騒音の原因となる場合もあるため、定期的に目視で確認しましょう。
関連記事:タイヤの空気圧を点検する意味は?適正ではない場合に起こる危険性について
経年劣化によるタイヤ交換
使用開始から5年以上経っているタイヤは、安全性能に不安がある場合が多いです。
また、製造後10年経過したタイヤはゴムの劣化が進み、滑りやすく危険な状態であることがしばしばあります。溝の有無は関係なく新しいものに交換しましょう。
タイヤはゴム製品のため、経年劣化による性能の低下は避けられません。タイヤのゴムから油が揮発し、柔軟性が失われてしまうのです。
ゴムの性能が落ちると、基準内の溝の深さであったとしてもタイヤが地面にしっかりと食いつかず、ブレーキ性能やハンドリングに影響します。
また、経年劣化がすすむと小さな刺激で突然タイヤが破裂することがあります。走行状態によっては命に関わる事故の可能性もあるでしょう。
日頃からスリップサインやノギスなどでタイヤの状態を確認し、溝が浅くなった場合は早めにタイヤ交換をしましょう。
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まとめ
車検に通るタイヤの溝の深さは1.6mm以上です。
タイヤの溝が浅くなると、ブレーキなどの機能が働かず事故をおこしてしまう危険性があります。
溝の深さをノギスや10円玉などの道具を使い、普段から確認しておきましょう。
基準以下の溝の深さで公道を走り検挙されると罰則を受けることになります。定期的にスリップサインやプラットホームが出ていないか確認しておくことが大切です。