クリーンディーゼル車の魅力とメリット
環境への配慮が求められる昨今、エコカーとしてクリーンディーゼル車への注目が高まっています。
今やトヨタやマツダといった数々の大手メーカーも市場に参入しており、テレビなどで耳にする機会も多いでしょう。
クリーンディーゼル車は、従来のディーゼル車で問題視されていた排出ガスや騒音に関する課題をほとんど解消した魅力的な車です。
しかし、ガソリン車との違いや具体的な魅力について、よく知らない人もいるかもしれません。
この記事では、クリーンディーゼル車の特徴とメリット・デメリットを解説します。
おすすめのクリーンディーゼル車も紹介するため、参考にしてください。
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INDEX
クリーンディーゼルとは
クリーンディーゼルとは、軽油を燃料とするディーゼル自動車(軽油車)のうち、排出ガスに含まれる大気汚染物質を一定基準まで低減したものです。
ディーゼル車は、ガソリン車に比べて燃費がよいとされます。
しかし、排出ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)などが大気汚染の原因となっている点では、問題視されていました。
そこで政府は段階的に排出ガス規制を進め、2009年に世界最高水準でありガソリン車と同等の規制を課す「ポスト新長期規制」を制定します。
ディーゼル車のクリーン化を求められた各自動車メーカーは、排出ガスの浄化技術の研究・開発を進めました。
代表的な浄化技術の例としては、触媒を使用して有害物質を還元する「NOx吸蔵還元触媒」や「尿素SCRシステム」などが挙げられます。
また、1995年にデンソーが実用化したコモンレール方式という燃料噴射システムを標準採用することで、従来よりもエンジン性能を高めつつ、燃焼時のススの発生を大幅に抑えられるようになりました。
これらのシステムを組み合わせたディーゼルエンジンの普及は、バスやトラックなどの重量車からはじまり、近年は多くの乗用車にも搭載されています。
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クリーンディーゼル車のメリット
ここでは、クリーンディーゼル車のメリットを3項目に分けて紹介します。
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燃費がよく、燃料代が抑えられる
クリーンディーゼル車に搭載されるディーゼルエンジンは熱効率がよく、ガソリン車よりも燃費がよいという特長をもちます。
これはディーゼル車の場合、エンジンを動かす際に圧縮され高温になった空気に少量の燃料を噴射して爆発的に燃焼させられるためです。
例えば、マツダが製造・販売するCX-5のWLTCモードにおけるガソリンエンジンの燃費が13.0~14.6km/Lであるのに対し、ディーゼルエンジンは16.6~17.4km/Lと、2~3割ほどの差があります。
燃費のよさは、給油にかかる費用を抑えられるという利点にもつながります。
クリーンディーゼル車の燃料となる軽油が、税制の関係でガソリンよりも1Lあたり20~30円ほど安価であることも相まって、燃料代を節約できるのです。
CO2排出量が少ない
燃料の消費が少ない車は、温室効果ガスの一種であるCO2の排出量も少なくなります。
実際に、欧州市場ではディーゼル車の販売数減少に伴い、2017年~2019年のCO2排出量が増加したというニュースが報じられました。
大気汚染物質のほかにCO2の排出量も低減できるクリーンディーゼル車は、環境にやさしい車といえるでしょう。
パワフルで静かな走行ができる
ディーゼルエンジンは加速性能にも優れています。
燃料が燃焼する際のエネルギーが大きく、ガソリンエンジンよりも低い回転数で最大トルクを発生させられるため、坂道でも力強くスムーズな発進が可能です。
従来のディーゼル車が抱えていた騒音問題も、クリーンディーゼル車では大きく改善されました。
最新の車は改良されたインジェクターや、より軽い部品をエンジンに採用することで音や振動を抑えており、快適に走行できます。
クリーンディーゼル車のデメリット
続いて、クリーンディーゼル車のデメリットを3項目に分けて紹介します。
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車体価格が高い
精密かつ頑丈な部品を多く使うクリーンディーゼル車は、高い製造コストがかかるため、ガソリン車よりも車体価格が高い傾向にあります。
マツダが製造・販売するCX-5(スマートエディション・4WD)の場合、ガソリンエンジンは314万500円、ディーゼルエンジンは345万9,500円です。
なお、2023年4月からクリーンディーゼル車は「クリーンエネルギー自動車(CEV)導入促進補助金」の対象外となっています。
メンテナンス頻度が高い
クリーンディーゼル車はガソリン車に比べてエンジンオイルの劣化が早く、高頻度でオイルを交換しなければ本来のエンジン性能を保てません。
特に悪路や起伏の激しい道を走行する場合は、半年に一度を目安に交換することをおすすめします。
また、エンジン内に溜まったススの除去や、排出ガスの浄化に使う尿素の補充を行うためにも、定期的なメンテナンスが必要です。
メンテナンスの頻度が高い分、費用もかさむでしょう。
ディーゼル車用のオイルはガソリン車用よりも高額であることにも注意が必要です。
街中での走行に向いていない
クリーンディーゼル車は、短い間隔で停止・発進を繰り返すことの多い街中での走行に向いていないというデメリットもあります。
クリーンディーゼル車はフィルターで大気に排出される大気汚染物質を取り除いており、エンジン内にススが溜まりやすいのが特徴です。
溜まったススは、燃料を消費して燃やすことで処理する仕組みになっています。
しかし、ススを燃やすためには30分ほど連続走行する必要があり、短時間の運転を繰り返すような使い方をする場合は、フィルターが詰まりやすくなってしまうのです。
おすすめのクリーンディーゼル車3選
ここでは、大手メーカーから発売されているおすすめのクリーンディーゼル車3選を、詳細なスペックと共に紹介します。
三菱 デリカD:5
デリカD:5は、三菱が初めて尿素SCRシステムを採用したミニバンです。
15年以上生産が続くロングセラーシリーズであり、2019年にガソリン車の生産が終了した後は、ディーゼル車のみ販売されています。
メーカー | 三菱 |
車名 | デリカD:5 |
ボディタイプ | ミニバン |
ドア数 | 5 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,800×1,795×1,875 |
車両重量(kg) | 1,970 |
総排気量(cc) | 2,267 |
使用燃料 | 軽油 |
燃料タンク(L) | 64 |
駆動方式 | 4WD |
トランスミッション | 8速スポーツモード A/T |
関連記事:【JASPER】デリカD:5の燃費は?実燃費や他車との比較!ジャスパーも!
マツダ CX-5
CX-5は、マツダが製造・販売するディーゼル仕様もしくはガソリン仕様のクロスオーバーSUVです。
改良が重ねられているディーゼル車は、環境性能のほかに加速性能や静粛性にも優れているのが特長です。
メーカー | マツダ |
車名 | CX-5 |
ボディタイプ | ステーションワゴン |
ドア数 | 5 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,575×1,845×1,690 |
車両重量(kg) | 1,690 |
総排気量(cc) | 2,188 |
使用燃料 | 軽油 |
燃料タンク(L) | 58 |
駆動方式 | 4WD |
トランスミッション | 6EC-AT |
関連記事:CX-5の燃費はディーゼル・ガソリンそれぞれどのくらい?他車と比較や走行性能も解説
トヨタ ランドクルーザープラド
ランドクルーザープラドは、トヨタが製造・販売するディーゼル仕様もしくはガソリン仕様の本格SUVです。
ディーゼル車には大トルクなディーゼルエンジンや、路面状況によって切り替わる5つのモードが備えられ、オフロードも難なく走行できます。
メーカー | トヨタ |
車名 | ランドクルーザープラド |
ボディタイプ | SUV |
ドア数 | 5 |
全長×全幅×全高(mm) | 4,825×1,885×1,850 |
車両重量(kg) | 2,180 |
総排気量(cc) | 2,754 |
使用燃料 | 軽油 |
燃料タンク(L) | 87 |
駆動方式 | 4WD |
トランスミッション | 6 Super ECT |
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まとめ
この記事では、クリーンディーゼル車の概要やメリット・デメリットについて解説しました。
クリーンディーゼル車は、環境への配慮と燃費のよさを両立したエコカーです。
従来よりも排出ガスに含まれる大気汚染物質やCO2が低減されており、ガソリン車に比べて燃料代を抑えられるメリットもあります。
さらに、大トルクと静粛性を備えたエンジンは、力強くなめらかな乗り心地を実現しています。
一方で、高額な車体価格やメンテナンス費がかかるというデメリットも無視できません。
街乗りにはあまり適しておらず、使い方によってはガソリン車のほうが総合的な費用を抑えられる可能性もあります。
クリーンディーゼル車の購入を検討する際は、維持費や主に走行する場所も考慮しましょう。