ハリー・ポッターの空飛ぶ車(フォード・アングリア)は実際に飛ばせるのか考察
ハリー・ポッターシリーズには、多くの読者や観客の心を掴む魔法のアイテムが登場します。
その中でも最も気になるのは、2作目『ハリー・ポッターと秘密の部屋』に出てきた空飛ぶ車ですよね。私はそうです。
今回は車は空を飛べるのかについて考えてみます。
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INDEX
ハリー・ポッターと秘密の部屋
冒頭の通り『ハリー・ポッターと秘密の部屋』は、大人気シリーズ「ハリー・ポッター」の2作目に当たります。
キングスクロス駅の9と3/4番線に入れず、ホグワーツに行く手段がなかったハリー・ポッターとロン・ウィーズリーが「車で空からホグワーツに行こう」という運びになり、ロンの父親、アーサー・ウィーズリーのフォード・アングリアで空を飛んで学校へ向かいました。
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フォード・アングリア
映画に出ていたのは、イギリスのFord UKにより製造された、アングリアという車で、小型のファミリーカーです。
1939年から1967年に渡り様々なモデルが誕生しています。
アングリア 105E デラックス
ハリー・ポッターに出ていたのは、アングリアの中でもアングリア 105Eという車のデラックスバージョンです。
1959年に導入され、耐久性に優れています。
映画でも、暴れ柳に突っ込んだ後も動くことが可能で、アラゴグの蜘蛛たちからハリーとロンを救出しました。
アングリア 105E デラックスの映画でのスペック
アーサーの魔法により、現実ではあり得ないスペックを持っています。
総排気量(cc) | 数値化不可能 |
ドア数 | 2 |
トランスミッション | 数値化不可能 |
駆動方式 | 魔法 |
定員 | 8人、トランク6個、フクロウ2羽 |
アングリア 105E デラックスの現実スペック
もちろん上のスペックは、魔法によるものなので、現実は違います。
総排気量(cc) | 997 |
ドア数 | 2 |
トランスミッション | 4MT |
駆動方式 | FR |
定員 | 4 |
ドア数2個、4速マニュアルミッション、FRなど、今ではあまりみないスペックに時代の流れを感じます。
フォード・アングリアはなぜ飛べたのか
フォード・アングリアは、ロンの父親であるマグル大好きおじさんことアーサー・ウィーズリーによって魔法で改造された車です。
この車は、見た目はごく普通のクラシックカーですが、空を飛ぶ能力や透明になる能力など、魔法が生み出す超常的な機能を備えています。
物語の中では、魔法による改造がどのように行われたのか詳細には説明されていませんが、魔法省「マグル製品不正使用取締局」局長の立場を利用してこっそり開発したようです。
空飛ぶフォード・アングリアの魔法的要素
- 飛行能力
車体全体に魔法が施され、地球の重力を無効化して空中を自在に移動できるようになっています。この仕組みは現実世界では「反重力技術」に相当します。 - 透明化機能
車を隠すための透明化呪文は、魔法界で使われる「透明マント」やその他の隠蔽呪文と同じ原理を応用していると考えられます。 - 自律的な意思
『秘密の部屋』では、禁じられた森に逃げ込んだ後のフォード・アングリアが、独自の意思を持つかのように行動する描写があります。これは魔法による擬似的な人工知能とも解釈でき、現実世界ではロボティクスやAI技術と比較することができます。
これらの機能は魔法界では一般的かもしれませんが、現実世界で同じ仕組みを科学的に再現するには多くの課題があります。
現実世界の空飛ぶ車技術の現状
現実世界では、空飛ぶ車の開発は長年にわたり夢物語とされてきました。しかし、技術の進歩によって、この夢が徐々に現実に近づいています。
現在、いくつかの企業や研究機関が、空飛ぶ車の実用化に向けた取り組みを進めており、試作機が実際に空を飛んでいるケースもあります。
空飛ぶ車の現状の技術
- ドローン技術の応用
小型無人航空機(いわゆるドローン)の技術が急速に進化したことで、飛行を制御するためのスタビリティや推進技術が飛躍的に向上しました。これを拡張し、有人で飛行できる車両の開発が進んでいます。たとえば、複数のローターを使うマルチコプター型の空飛ぶ車が注目されています。 - 電動航空機の登場
電気モーターとバッテリーを使用した電動航空機(eVTOL: Electric Vertical Take-Off and Landing)は、環境に優しく騒音も少ないため、都市での利用が期待されています。 - プロトタイプの実例
- PAL-V Liberty:既存の道路を走行し、プロペラを展開して飛行できるプロトタイプが登場しています。実用化に向けて法的規制の調整も進行中です。
- AeroMobil:飛行機の翼を折りたたむことで車としても使用可能なモデル。将来的には、個人向けの空飛ぶ車として市場に投入される計画です。
結局車は空を飛べるのか?
乗るための実用化はまだ先になりそうですが、2021年から計画が始動し、ドローンのような形で2023年から空の移動革命実現に向けた方向性が具体的に定まってくるとされていました。
2024年現在では、2025年の大阪万国博覧会での利用を見据えられています。
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実現の方向性
経済産業省が公表している「“空飛ぶクルマ”の実現のための航空機電動化技術」によると空飛ぶ車の定義は、「電動垂直離着陸型無操縦者航空機」としています。
簡単にいえば
電動で、滑走路なしで、垂直離着陸でき、自動運転可能な特徴を持つ航空機のことを指し、これらは、eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)という技術をベースとしています。
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AIRMOBILITY (エアモビリティ株式会社)
エアモビリティ株式会社は、「人類の夢であった空の移動革命が今ここに!」をキャッチコピーとする、eVTOL(いわゆる「空飛ぶ車」)に関するサービスの構築、提供、また、インフラの整備まで行っている会社です。
2019年に設立され、イギリスのVRCO社、スイスのDufour Aerospace社、アメリカのBartini社など、世界各国のeVTOL企業と提携し、グローバルに実現に向けて動いています。
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現代科学でフォード・アングリアを再現するには
フォード・アングリアのような空飛ぶ車を現実の科学技術で再現するためには、以下の要素が必要です。それぞれを現代技術の視点から検討し、実現に向けた課題と可能性を考えてみましょう。
飛行能力の実現
フォード・アングリアは魔法の力で地球の重力を無視して飛びます。現実では、重力を制御する技術(いわゆる反重力装置)は存在しないため、現時点で最も近い技術はドローンのような推進力を利用した方法です。
推進技術の応用
eVTOLの技術では、車体に複数の電動ローターを搭載し、垂直離着陸を可能にしています。軽量素材を使用して機体を作り、電気モーターで駆動することで、高い推進効率を確保しています。
実現可能性
現在のロケット技術に用いられるイオン推進や、地球の磁場を利用したリフト技術が将来的に実用化されれば、より静かで効率的な空飛ぶ車が実現する可能性があります。
透明化の仕組み:光学迷彩技術
魔法界で使われる透明化に似た技術として、光学迷彩の研究が進んでいます。
光学迷彩の現状としては、特殊なカメラとプロジェクターを用いて背景を映し出す「アクティブ迷彩」や、メタマテリアルを使った「光を曲げる技術」が開発されています。
これらを車体に組み込むことで、周囲と同化し透明に見せることができるかもしれません。
しかし、技術的には実現に近づいていますが、コストや使用環境(暗闇や雨天など)において限界があり、課題となるでしょう。
自律行動:AIとロボティクス
フォード・アングリアが見せた「自律行動」のような機能は、現代の人工知能(AI)技術を応用することで実現可能です。
現在の自動運転技術を応用すれば、車の操縦や障害物回避をAIが担うことができる可能性があります。また、AIが環境に応じて適応的な判断を行うことで、「擬似的な意思」を持つ車が実現できます。
しかし、完全な自律運転には、膨大なデータの収集と処理が必要です。空中移動では地上交通以上に複雑な状況を想定しなければならないケースも発見されるかもしれません。
エネルギー問題: 小型で高出力な電源
空飛ぶ車には、高いエネルギー密度を持つ軽量なバッテリーが必要です。
現在の技術では、リチウムイオン電池が主流ですが、次世代の電池技術として「固体電池」や「水素燃料電池」が注目されています。これらは軽量化と高出力化を両立するポテンシャルを持っています。
もし、超高効率のエネルギー貯蔵技術が実現すれば、長時間の飛行が可能になるだけでなく、車両のデザインやサイズにも柔軟性が生まれるでしょう
まとめ
今回は、ハリー・ポッターと秘密の部屋に出てきた、空飛ぶ車について解説しました。
意外と現実的だったことに驚いた方もいらっしゃるでしょう。技術の発展には期待がもてますね。
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参考元
経済産業省、国土交通省、ポッターマニア、エアモビリティ株式会社、– Warner Bros. Studio Tour Tokyo – The Making of Harry Potter