自動運転とは。仕組みや安全性について解説

自動運転とは、システムによって車をコントロールし、運転操作を行う技術のことです。
本記事では、自動運転の仕組みや安全性について詳しく解説します。

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自動運転技術の仕組み

日産セレナプロパイロット2.0
日産 プロパイロット2.0
出典:日産自動車株式会社

自動運転は、システムによって車をコントロールしながら走行する技術のことであり、認知・判断・操作を連動させることで可能になるものです。

まずは、自動運転の仕組みについて解説します。

センサーによる認知

車の運転中は、あらゆる状況を認知する必要があります。
「歩行者が急に飛び出してこないか」「信号は青になっているか」「標識には何が表示されているか」など、確認すべきことは多種多様です。

自動運転では、複数のセンサーやカメラを車に取り付けることで、周辺状況の認知を行います。

また、マップデータやGPSを用いて位置情報を確認することも、正確な認知を行うために欠かせない技術の1つです。
精度の高い認知が可能になれば、運転手が気付かない異変にも気付きやすくなり、事故の予防になります。

関連記事:自動運転での交通事故は誰の責任に?保険は使える?

人工知能による判断

自動運転では、センサーの認知で得た情報をもとに、ハンドルやブレーキ、アクセルといった操作を行うための判断を下すことになります。

適切な判断を行うために活用されているのが、人工知能です。

現状の人工知能は、目的地までのデータから走行ルートを決めるのに加え、渋滞情報をもとにしたルート変更や車線変更、追い越し、車間距離の維持といった判断を行います。

将来的には、周りの歩行者や車の情報から「スピードを抑える」「車線の右寄りを走った方が安全」といった判断もできるようになると期待されています。

また、人工知能が正確な判断を行うためには、実証実験により最適解を積み重ねる過程が欠かせません。
学習の積み重ねにより、高い精度の自動運転が可能になります。

関連記事:知っておきたい自動運転の知識!レベル分けや国内メーカーの最新技術を紹介

電気信号による操作

人工知能が下した判断に沿って、アクセルやブレーキなどの操作が行われます。
人工知能の判断は電気信号として各機器に送信され、車の操作を行うのが基本的な仕組みです。

近年は、何らかの原因で自動運転車が制御不能に陥った場合に備え、遠隔地から監視・操作を行う仕組みも構築されつつあります。

遠隔操作を実現するためには、車に取り付けたカメラからリアルタイムの情報を確認し、状況に応じて制御指示を伝えるための高機能な通信技術が必要とされています。

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自動運転の機能

Honda SENSING Elite
ホンダ レジェンド Honda SENSING Elite
出典:本田技研工業株式会社

自動運転の機能は、5つのレベルに分類されています。ここでは、レベル別の機能について解説します。

レベル1

レベル1は、ブレーキ・アクセルの操作またはハンドル操作のどちらか一方の運転支援を行う機能を搭載した状態です。

そのため、運転の主体となるのはあくまでもドライバーとされています。

関連記事:自動運転に向けて進む技術 ADASって何だ?

レベル2

レベル2は、ブレーキ・アクセルの操作とハンドル操作の両方の運転支援を行う機能を搭載している状態です。

運転の主体がドライバーであることはレベル1と変わりありませんが、ブレーキ・アクセル・ハンドルの全てに対する運転支援機能を備えている点が異なります。

日産のプロパイロット、トヨタのアドバンストドライブ、スバルのアイサイト、左記の最新のものは自動運転レベル2に当たります。

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レベル3

レベル3は、特定の条件を満たす環境に限り、自動運転システムで全ての運転操作を代替できる状態です。

運転の主体は自動運転システムになりますが、システムの作動が難しい場合はドライバーが主体になります。
そのため、緊急事態が起きた際には、必ず人が対応しなければなりません。

台数限定で販売された、ホンダのレジェンドに搭載されているHonda SENSING Eliteが自動運転レベル3に該当します。

関連記事:自動運転レベル3の機能が搭載されている市販車はあるのか?レベル3の概要や現状を紹介

レベル4

レベル4は、特定の条件を満たす環境に限り、自動運転システムかで全ての運転操作を代替できる状態のことを指します。

運転の主体は、ドライバーではなく自動運転システムです。
特定の条件を満たす環境とは、自動運転ができる道路や時間帯、気象について定めた運行設計領域(ODD)のことを指します。

関連記事:4月1日法改正で自動運転レベル4解禁?実際はいつ導入される?自動運転普及のための課題も紹介

レベル5

レベル5は、運行設計領域に限られることなく、いつどこでも自動運転システムが主体となった操作が可能な状態を指します。

自動車業界では2030年代にレベル5の実現を目指す動きがありますが、ハードルはかなり高いといえるでしょう。

関連記事:自動運転レベル5が作る世界と現状を解説!完全自動運転は実現できるのか

自動運転の安全性と利点

Honda SENSING Elite
ホンダ レジェンド Honda SENSING Elite
出典:本田技研工業株式会社

ここからは、自動運転の安全性と利点について紹介します。

自動運転の安全性

前述の通り、自動運転技術はレベル1~5に分類されていますが、レベルが上がれば安全性も高まるというわけではありません。
自動運転によって何かしらの事故が起きる可能性はゼロではないといわれています。

2022年、安全性の標準を定めるために日本発の自動運転システム「シナリオに基づく安全性評価フレームワーク」が発表されました。

自動運転システムを認知・判断・操作の3点に分類し、それぞれの危険に繋がる事柄を体系的に整理することで、開発プロセスでの安全性を評価・検証する基盤になるとされています。

こうした標準をもとに、今後も安全性が追求された自動運転システムの開発が進んでいくでしょう。

利点1:事故の予防

交通事故原因の多くは、ドライバーによる運転ミスです。

自動運転ではセンサーやカメラを使って情報を収集し、システムによる判断で速度管理やブレーキ操作などが行われるため、ドライバーの不注意による事故を防ぐ効果を期待できます。

利点2:渋滞の緩和

自動運転システムでは、GPSなどで位置情報を収集し、最適なルートを導き出します。

渋滞が発生した場合は迂回路を提案し、各車両のルートを分散させることもできるため、渋滞の緩和に繋げられるでしょう。

また、スピード調節や車間距離の維持によって、渋滞に繋がる運転を避けることも可能になります。

利点3:地方居住者の移動手段確保

自動運転システムは、バスやタクシーなどの交通機関が少ない地域に住んでいる人の移動手段確保にも役立ちます。

自動運転技術が確立されればドライバーの人件費が不要になるため、交通機関の事業継続が難しい地方でもバスやタクシーを運行できるようになる可能性が高まるでしょう。

自動運転の将来的な展望

ホンダクルーズオリジンの利用イメージ
ホンダが開発中のクルーズオリジン利用イメージ
出典:本田技研工業株式会社

2020年代の自動運転システムはレベル2が主流となっていますが、近年はレベル3の車も登場し、徐々にシェアを広げている状態にあります。

2021年にはホンダが自動運転レベル3「Honda SENSING Elite」を搭載した市販車を発表し、2023年にはメルセデス・ベンツのレベル3の条件付き自動運転システムがアメリカ・カリフォルニア州で承認されました。

中国やアメリカでは自動運転タクシーが走行を始めており、今後も自動運転技術は進化していくと考えられています。

ただし、レベル3以上の自動運転は主体が自動運転システムとなるため、事故が起きたときの責任問題や法規制といった課題への対応が必須です。

各課題がクリアになる2030年代以降に、自動運転システムの本格的な普及が始まるとされています。

まとめ

自動運転は、センサーやカメラによる認知、人工知能による判断、電子信号による操作によってシステム主体の運転が可能になる技術です。
技術のレベルは1~5に分類されており、レベル5に達すると運転の主体は完全に自動運転システムに委ねられることになります。

自動運転には、交通事故の予防や渋滞の緩和、地方居住者の移動手段の確保といった利点があるため、これからの社会に必要不可欠な技術だといえるでしょう。

アメリカや中国、日本などを中心に、今後も自動運転システムの開発が進められていくと考えられます。

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