トヨタは水素自動車から撤退しない?トヨタが販売する「MIRAI」についても解説
「水素自動車ってどんな仕組みなの?」「今後も発展するの?」など、水素自動車に興味がある人のなかには、このような疑問を感じていることもあるでしょう。
実際、大手自動車メーカーが撤退しているなか、水素自動車のパイオニア的存在であるトヨタの動向に注目している人も多いようです。
この記事では、水素自動車の仕組みや普及が進んでいない理由、トヨタの水素自動車への取り組みについて解説していきます。
水素自動車に興味がある人は、ぜひチェックしてみてください。
関連記事:水素自動車が「環境に悪い」といわれる理由とは?普及に向けた問題点も解説
INDEX
水素自動車の概要
水素自動車という言葉は知っていても、実際にどのような車なのか把握できていない人も多いのではないでしょうか。
ここでは、水素自動車の概要から注目されている理由まで解説していきます。
水素自動車の原理
水素自動車は燃料電池とよばれる装置を搭載しています。
この燃料電池が水素と酸素の反応から電気を生成する仕組みです。
生成された電気はモーターに供給され車を駆動させることから、水素自動車は電気自動車(EV)の一種とされています。
関連記事:水素自動車の仕組みとは?ガソリン車や自動車との違いや魅力について紹介!
関連記事:電気自動車(EV)の仕組みって?種類や充電方法、SDGsへの貢献を解説
水素自動車の燃料供給
水素は専用の給水装置で補給します。
給水装置によって供給された水素は高圧で車のタンクに保管され、容量や水素の圧縮度によって走行可能な距離が決まります。
水素自動車は水素と酸素の反応によって発生する電気化学反応で動力を得ているため、この反応の副産物は水蒸気のみであり、排出されるのは水だけです。
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水素自動車のメリットや注目される理由
水素自動車が注目される理由として、走行時に排気ガスとして水蒸気しか出さず、大気汚染物質をほとんど排出しないゼロエミッションな仕組みが挙げられます。
また、水素は再生可能エネルギー源から製造することが可能です。
ガソリンの場合、原料となる石油の枯渇や価格の高騰などが問題として度々取り上げられますが、再生可能エネルギーであればこうした問題も解決できる可能性があります。
そのほかにも、水素を給水する時間は電気自動車の充電時間と比べて短く数分で給水が完了します。
これにより、充電待ちの時間が短縮され、利便性が向上することは大きなメリットであるといえるでしょう。
このように、地球環境の保全が課題となっている現代において、水素自動車は環境に優しい移動手段として注目されています。
関連記事:水素自動車とはどんな車?メリット・デメリットについても解説
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水素自動車の普及が難しい理由
地球環境に優しく、ガソリン車と同様に長距離走行が可能な水素自動車ですが、普及が進んでいないのはなぜなのでしょうか。
ここでは、水素自動車の普及が難しいといわれる理由について解説していきます。
水素供給インフラの不足
水素自動車を普及させるには、十分な水素供給インフラの整備が必要です。
しかし、現在の日本やほかの国々では水素ステーションの数が限られており、水素自動車を普及するためには、供給インフラを設置する必要があります。
また、供給インフラの整備においては、通常のガソリンスタンドが7,000万~8,000万円ほどであるところ、水素ステーションの場合には約5~6億円必要と経済産業省が発表しています。
インフラ整備が課題とされるなか、実現するためには投資のコストダウンもしなければなりません。
このような状況から、水素自動車の普及が難しいといわれています。
高コスト
供給インフラの整備にも多額のコストが発生しますが、水素自動車そのものの製造コストが高いことも普及の妨げとなっている原因の一つです。
製造コストが高いということは、一般的な電気自動車やガソリン車よりも購入価格が高くなることにも繋がります。
水素の製造と貯蔵の課題
水素を燃料とすることで、自動車から排出される二酸化炭素を抑えることができます。
しかし、燃料となる水素は製造や貯蔵などに特殊な技術と設備が必要です。
現在の水素製造方法では化石燃料を使用することが多く、製造過程において環境負荷が懸念されます。
また、水素の貯蔵には高圧や低温を必要とするため、車両内の貯蔵技術の向上が求められるでしょう。
トヨタは水素自動車から撤退しない?
国内大手自動車メーカーであるトヨタは、水素自動車の普及が難しいとされるなか開発から撤退しないのでしょうか。
ここでは、トヨタの水素自動車に対する取り組み状況について解説をします。
トヨタは水素自動車から撤退しない
現時点において、トヨタは水素自動車への取り組みを継続しており、撤退の予定はありません。
独自の水素燃料電池車である「MIRAI」を開発し、積極的に水素社会の実現に向けて取り組んでいます。
トヨタは、水素燃料電池車の利点や潜在的な可能性を認識しており、長期的な視点での持続可能なモビリティソリューションの実現を目指しています。
また市場においても、水素自動車はゼロエミッション、短時間の給水、長距離走行などのメリットを持ち、持続可能な社会に向けた一つの解決策として期待しているでしょう。
関連記事:トヨタのEV戦略や水素社会への取り組みに対して海外の反応は?
現在の状況と今後について
トヨタは水素燃料電池車の技術開発やインフラ整備に積極的に取り組んでおり、その一環として水素ステーションの設置や水素供給システムの普及を支援しています。
また、2020年にはMIRAIの次世代モデルを発表し、さらなる性能向上や普及を目指している状況です。
ただし、こうした状況は現時点のものであり、今後の市場や技術の進展によって状況は変化する可能性もあります。
自動車産業は競争が激しく、市場の需要や環境への対応が重要です。
これらを踏まえ、トヨタも市場の変化や技術の進歩に合わせて戦略を見直す可能性はありますが、現時点では水素自動車への取り組みを継続しており今後の動向にも注目を集めています。
トヨタの水素自動車「MIRAI」を紹介
水素自動車のパイオニア的存在であるトヨタの「MIRAI」ですが、どのような車なのでしょうか。
ここでは、MIRAIの概要について紹介していきます。
MIRAIの概要
MIRAIは、2014年11月に発表され、2020年にフルモデルチェンジしたセダンタイプの水素自動車です。
電気自動車と同様に電気モーターを使用して走行しますが、電力源として水素燃料電池を使用しています。
水素燃料電池は水素と酸素の化学反応によって電気を生成し、その電気をモーターに供給して走行するため地球環境に優しい車です。
MIRAIは電気自動車のように長距離走行が可能であり、充電時間の待機が必要なく、旅行や長距離移動などに適しています。
デザインや乗り心地
先端技術を駆使して開発されているMIRAIは、環境車だからではなく、スタイリングで選ばれるために、動力だけではなく外装デザインもモダンで洗練されています。
また、洗練されているのは外観だけではなく、内装においても高級感ある座席や、先進的なインフォテインメントシステムが搭載されており、快適なドライブ体験ができることも魅力的です。
乗り心地においてもMIRAIは電気モーターの特性を生かし、エンジン音や振動がない滑らかで静かな走行を実現しています。
そのほかにも、衝突回避支援や自動ブレーキシステム、車線逸脱警報などのトヨタの最新の安全技術を搭載しているため、安全面も充実した車です。
まとめ
水素自動車は、走行において二酸化炭素の排出を抑えられることから地球環境に優しく、ゼロエミッションな仕組みが注目されています。
環境面だけではなく、長距離走行が可能で、充電時間も電気自動車より短時間で行えるという実用性も兼ね備えていることも魅力的です。
多くのメリットがある一方で、製造過程含めコストが高額であることや、供給インフラの整備が十分でないなどの課題により、普及が進んでいません。
こうした背景から、水素自動車のパイオニア的存在であるトヨタの動向に注目が集まっています。
トヨタは水素自動車を現時点では撤退していません。
技術の進歩によって抱えている課題が解決され、水素自動車の普及が期待されています。
水素自動車に興味がある人は、ぜひトヨタ「MIRAI」をチェックしてみてください。