【2024年版】アメリカの25年ルールとは?日本の旧車がアメリカで人気の理由も解説
日本製の新車が海外で人気が高いことについて知っている方は多いと思いますが、海外では日本の中古車も人気があります。
いわゆる「旧車」と呼ばれるような車です。
その理由は、アメリカにおいて、日本の中古車を取り扱う際に外すことができない「25年ルール」という決まりにあります。
この記事では、アメリカにおいて日本の中古車を流通させるにあたって重要な意味を持つ25年ルールについて詳しく解説していきます。
関連記事:【2023年】中古車のおすすめを車種ごとに14台紹介!選び方や注意点も解説
INDEX
25年ルールの概要
25年ルールとは
アメリカにおいて中古車を取り扱うにあたって定められている25年ルールとは、「製造から25年以上たった車は、本来輸入できないような車でもクラシックカーとして登録できる」という制度です。
アメリカの道路は日本と異なり、車は右側通行になります。
そして道路を走る車は左ハンドルとなるため、日本車のような右ハンドルの車は原則輸入が禁止されています。
そこで鍵になるのが「25年ルール」です。
このルールは、右ハンドルの車であっても、製造から25年が経過した場合は輸入できるようになるという例外的な制度です。
25年ルールはいつから始まった?
25年ルールは、並行輸入車における全面禁止の緩和制度として1988年に制定されました。
このルールが適用されると、通常の車に求められる厳しい安全基準を求める検査も免除されるという利点があります。
また関税や排ガス規制も対象外となるため、アメリカで日本製の中古車を欲しい人にとってはかなり重要な制度になります。
なぜ日本車がアメリカで人気なのか
日本文化の影響
アメリカでは、JDM(Japanese Domestic Market:日本国内市場)と呼ばれる、日本仕様にカスタマイズした車や、25年ルールの適用により日本から輸入された車が人気です。
このような日本車が人気の背景には、映画やゲームの影響が大きいといわれています。
特に影響を大きく与えたゲームとして、「グランツーリスモシリーズ」があります。
このゲームの大ヒットにより、ゲーム内に登場するスカイラインGT-Rをはじめとする日本製のスポーツカー人気に火が付きました。
さらに、スカイラインGT-Rは映画「ワイルドスピードシリーズ」によっても人気が高まりました。
この他、「マツダRX-7」や「日産シルビアS14」といった車も映画には登場します。
このように、旧車は、ゲームや映画に登場する日本のスポーツカーは、そのスタイルや走破性の良さからアメリカでの人気が根強いものになっています。
関連記事:【映画公開】グランツーリスモはリアルとバーチャルを繋ぐ!名前の由来や魅力、映画情報を紹介
車のコンディション
また、人気が出た背景には、車の見た目や走破性以外だけでなく良好なコンディションの車が多いという点もあります。
日本の中古車はアメリカの中古車に比べて走行距離が少ない車が多いという特徴があります。
国土の広さの違いや、車文化の違いなどがこの結果につながっていると考えられます。
また、日本では車検が2年に1回は行われることによって車のメンテナンスが適切に行われることも、車のコンディションが良好に保たれている大きな要因です。
為替相場
昨今の円安がより進んでいる状況も、日本車人気に拍車をかけています。
例えば500万円の日本車をアメリカで購入する場合、1ドル100円の状況では50,000ドル必要ですが、1ドル147円のように円安になると、約34,000ドルで購入できます。
円安の状況が今後も続いていく限り、人気の下支えをするでしょう。
関連記事:中古車の値上がりによる買い取り相場への影響は?要因や売り時を徹底解説!
25年ルールが日本の中古車市場にもたらす影響
25年ルールはアメリカにおけるルールではあるものの、日本の中古車市場においてもこの影響は無視できません。
中古車の価格は、基本的には需要と供給で決まります。
ルールが適用される人気車は、アメリカでの需要が急激に高まるため、日本における中古車価格も高騰する傾向があります。
特に1980年代~1990年代の日本製スポーツカーの人気はアメリカでも非常に高く、日本の中古車の価格高騰が続いています。
そして今後もこのような状況は継続していくと考えられています。
関連記事:なぜ中古車が高騰するのか?その理由と今後の見通しを解説
25年ルールに対して、「うざい」「廃止してほしい」という反応も
当然日本にも旧車ファンはいます。
多少高価だろうとカスタマイズして乗り続ける方も多いのですが、できれば安くしてほしいものです。
こういった背景から、
- うざい
- 早く廃止にしてほしい
- 迷惑
- スカイラインGT-Rが…
- 旧車いじめじゃん
と、散々な意見が飛び交っています。
25年ルールで価格が高騰しそうな人気車3選
ここでは、25年ルールで実際に価格が高騰しそうな人気車を3つ紹介します。
三菱 ランサーエボリューション V
通称エボVと呼ばれるこの車は、ライバル車である日産スカイラインGT-Rに対抗し、多くのアイデアが盛り込まれたスポーツカーです。
1つ前のモデルであるランサーエボリューションⅣはすでに2021年に25年ルールが適用され、価格が高騰しています。
ランサーエボリューションVでは、旧モデルに比べて全幅が80mm拡大され、3ナンバーの車となりました。
この改良は、WRC(世界ラリー選手権)におけるWRカー(ワールドラリーカー)に対抗すべく行われました。
また、旧モデルの欠点であった、乾燥した道路におけるブレーキやタイヤの容量不足が改善されていることで、より快適に走りを楽しめる車となりました。
この車は1998年に発売されていることから、2023年からアメリカ市場に出回るものと考えられます。
2代目 スバル インプレッサ
2代目スバルインプレッサは2000年8月に発売されたスポーツカーであるため、2025年頃よりアメリカで流通し始める見込みです。
初代スバルインプレッサはすでに25年ルールの対象となっており、アメリカで購入できる車となっています。
2代目も初代同様に、セダン型とスポーツワゴン型のボディタイプがあります。
セダン型は5ナンバーサイズのコンパクトサイズとなっている一方、スポーツワゴン型は走行時の安定性が考慮され、安定感のある3ナンバーサイズの車となっています。
走りを極めている車であると同時に、剛性も強く安全性にも長けた車であるため、初代同様に人気の車となるでしょう。
マツダ RX-7 Type RZ
マツダのRX-7 タイプRZは、1991年から2002年にかけて製造された、マツダを代表するスポーツカーです。
中でも2000年モデルは、ロータリーエンジン搭載のスポーツカーの最高峰として、多くのファンを魅了したモデルでした。
その最大の魅力は、やはりその走行性能です。
1.3Lのロータリーエンジンは、最高出力280PS、最大トルク26.0kgf・mと、軽量なボディとの組み合わせにより、鋭い加速と爽快なハンドリングを実現しています。
また、5MTの採用によりドライバーの操作にダイレクトに応える、スポーツカーらしいドライビングを楽しむことができます。
さらに、RX-7 タイプRZはデザインも魅力的です。
流麗なボディラインと低重心なパッケージングにより、スポーティーかつエレガントな印象を与えます。
このように、RX-7 タイプRZの2000年モデルは、走行性能、デザイン、ともに高い評価を得た、まさに名車と呼ぶにふさわしいモデルです。
すでに解説したように、アメリカでの輸入が解禁されると、日本での中古車価格も高騰する可能性があります。
その点を考慮すると、今回紹介したような車に関しては早めに手に入れておいた方が良いかもしれません。
関連記事:安室透の愛車RX-7(FD3S)はどんな車?安室透とRX-7FDの魅力も紹介!
2024年に25年ルールが適用される車種
2024年に25年ルールが適用となる車、つまり1999年に生産された車を紹介します。
日産 スカイライン GT-R R34型
アメリカでも圧倒的な人気を誇るGT-Rシリーズも、続々と25年ルールの対象となりアメリカでの輸入が解禁されています。
BNR34型は、1999年に製造が開始されたモデルであるため、25年ルールが適用されるのは2024年以降となります。
「人に翼を」のキャッチコピーで発売されたこの車は、先代の33型からフォルムの大きさが縮減され、剛性が強化されたモデルです。
直線基調のスタイルとヘッドランプを吊り目タイプにしたことで、よりスタイリッシュな外観となりました。
また、タイヤとホイールは18インチの大きさが採用されています。
エンジンはRB26DETT型という最大出力280PSのものが搭載されています。
最大トルク40.0kgf·mが達成されており、低回転域におけるトルクの増加により、通常運転時における速度でも安定した運転が可能です。
なお、スカイラインGT-Rという名前を持つ車は、この34型が最後のモデルとなりました。
日産 シルビア SpecR S15
日産シルビア SpecR S15は、1999年から2002年まで製造された、日本を代表するスポーツカーです。
先代モデルのS14から一回り小さくなったボディサイズと、S14譲りの俊敏なハンドリングが特徴でした。
スペックRは、S15シルビアの最上位グレードであり、専用のボディキットや足回り、ブレーキシステムを装備しており、レカロ製バケットシートや、ナルディ製ステアリングホイールなど、スポーツカーに相応しい装備も充実していることから人気を集めました。
ホンダ 初代インサイト
2022年に販売終了したセダン、インサイトも初代は1999年にデビューしました。
ホンダの初代インサイトは、1999年から2004年にかけて製造された、世界初の量産ハイブリッドカーです。
当時のハイブリッドカーは、重量や価格などの課題があり、普及が進んでいませんでした。
しかし、初代インサイトは、軽量化や低価格化を徹底することで、これらの課題を克服し、世界中で大ヒットしました。
初代インサイトは、燃費性能だけでなく、デザインや走行性能にも優れた車です。
流麗なボディデザインは、当時のハイブリッドカーとしては斬新で、多くの人から支持されました。
また、軽量なボディと、低重心なパッケージングにより、優れたハンドリング性能を発揮しました。
ホンダ 初代S2000
ホンダS2000は、1999年から2009年まで製造されていた、2シーターのオープンスポーツカーです。
ホンダの創立50周年記念企画として発表され、多くのスポーツカーファンから愛されました。
初代S2000の最大の魅力は、その走行性能です。
2.0Lの自然吸気エンジンは、最高出力240PS、最大トルク22.2kgf・mを実現し、軽量なボディとの組み合わせにより、鋭い加速と爽快なハンドリングを実現しました。
また、6MTの採用によりドライバーの操作にダイレクトに応える、スポーツカーらしいドライビングを楽しむことができます。
初代S2000は走行性能だけでなく、デザインや装備にも優れた車です。
流麗なボディラインと、低重心なパッケージングにより、スポーティーかつエレガントな印象を与えます。
また、レザーシートやナビゲーションシステムなど、快適装備も充実しています。
トヨタ セリカ SS-Ⅱ
1970年にデビューしたトヨタのセリカの7代目に当たるモデルで1999年に発売されました。
トレンドを切り拓くデザインと際立つ走りにより、クルマの原点にあるエンタテイメント性を堪能できる新しいスポーツスペシャルティであり「見て、見られて、操って楽しい」をテーマに誰もが気持ち良く乗れ、軽快に走る、「ライトな新感覚GT」を具現化しました。
2006年に販売終了となりましたが、何かと復活の噂が絶えない不思議なモデルです。
ちなみに2023年に販売終了したカムリも初めはセリカカムリとして販売されていました。
関連記事:トヨタ「カムリ」が国内での生産を終了する?その理由について解説
スバル インプレッサ WRX
1999年モデルのインプレッサ WRXは、スバルが製造・販売していたスポーツセダンで、名前の通りインプレッサとWRXです。
初代インプレッサのホットモデルとして登場し、高い走行性能と実用性を兼ね備えたモデルとして人気を博しました。
インプレッサ WRXは、その走行性能だけでなく、実用性にも優れた車です。
5ドアハッチバックのボディは日常使いにも十分なスペースを確保しており、4WDシステムを採用することで悪路走行や雪道走行も安心して行うことができます。
まとめ
この記事では、アメリカの25年ルールについて解説してきました。
このルールはアメリカの制度ではありますが、日本の中古車市場にも影響を及ぼす制度です。
海外で日本車が売れるということは、日本の中古車の魅力がそれだけ高いことに他なりません。
手に入れたい旧車があるという方は、今回解説した25年ルールを理解して、アメリカへの輸出が解禁される前に早めに購入することを考えても良いでしょう。