軽自動車の排気量はどれぐらい?サイズ規格との関係について
ガソリンを燃料とする車は、走行時にガス(一酸化炭素や窒素化合物など)を排気しています。
自動車税や自動車重量税は、車の重量と排気量を考慮して設定されているため、各車種における排気量は重要な指標となります。
車種の中でも、軽自動車は排気量の少ない車として知られており、各種税金の金額が低いといったメリットがあります。
この記事では、軽自動車と排気量の関係について紹介していきます。
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軽自動車の排気量が660cc以下なのはなぜか?
小型で四角い車、黄色いナンバープレートの車など、外見的な特徴から軽自動車と判断することが一般的ですが、軽自動車は、法律によって規格が定められています。
そのため、正確な基準としては、軽自動車の規格に沿って製造された自動車が軽自動車として販売されます。
軽自動車の規格の中では、排気量も定められており、「660cc以下」となっています。
そのため、軽自動車の排気量はすべて660cc以下になるよう設計されています。
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そもそもなぜ排気量の設定がされているのか?
ここでは、排気量の設定に関する歴史や排気量が設定された理由について解説します。
排気量が設定された歴史
最初に軽自動車として正式な規格が定められたのは1949年です。
当時の規格では、4サイクルの車で150cc以下、2サイクルの車で100cc以下の排気量と定められており、現在の排気量と比較すると低い値であることがわかります。
その後、時代の流れとともに軽自動車の規格は細かく変更を繰り返されてきました。
1950年には4サイクルの車で350cc以下、2サイクルの車で200cc以下の排気量とされ、1955年に4サイクル、2サイクルの区別を撤廃し、軽自動車の排気量は360cc以下に統一されました。
車の出力を高めるため、1976年には軽自動車の排気量は550cc以下まで認められるようになり、1990年に現在の規格である660cc以下という基準になりました。
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普通車と明確に区別するための基準の一つが排気量
軽自動車の規格では、排気量やサイズなどが細かく定められています。
これは普通自動車でも同様です。
軽自動車の規格で排気量やサイズが定められているのは、他の車と明確に区別するためです。
これによって軽自動車は普通車に比べて税制面での優遇、安価な本体車両価格を実現しています。
そして、軽自動車優遇の処置が施されていたため、昭和の高度経済成長の時代に日本全国の各家庭に軽自動車が浸透したといわれています。
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軽自動車と普通車のサイズ規格と排気量の違いとは?
ここでは、サイズ規格と排気量の関係について紹介します。
軽自動車のサイズ規格について
軽自動車の規格では、排気量だけでなくサイズについても細かく定められており、現在は長さ3.40m、幅1.48m、高さ2.00mと定められています。
軽自動車のサイズも時代とともに変化しており、軽自動車の規格が定められた1949年では長さ2.8m、幅1.0m、高さ2.0mでした。
軽自動車の出力アップや交通事故への対策などから徐々にサイズ制限も緩和され、1998年に現在のサイズ規格へとなりました。
こうしたサイズ規格も普通車と区別するために設けられたものです。
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軽自動車と普通車のサイズ規格と排気量
普通自動車の規格では、長さ4.7m、幅1.7m、高さ2.0mの内どれか一つでも上回る必要があります。
この規格は小型自動車のサイズ規格であり、普通自動車は小型自動車よりも大きなサイズであることが求められます。
軽自動車のサイズ規格である長さ3.40m、幅1.48m、高さ2.00mと比較しても分かるとおり、普通自動車は軽自動車よりも一回り以上大きなサイズとなっています。
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軽自動車はせまい?
軽自動車は、その外観から小さく見えることがありますが、内部空間を広く使うための工夫が随所に凝らされています。
自動車メーカー各社は効率的なスペース利用を追求し、後部座席をギリギリまで後退させるなどして広いスペースを確保しています。
また、多くのモデルにはリアシートを倒して広々とした荷室スペースを確保できる仕組みが備えられています。
これにより、ショッピングやアウトドアアクティビティ時にも、必要な荷物を運ぶのに十分なスペースが確保できます。
さらに、多くの軽自動車は、足元や頭上のスペースを最大限に利用しており、運転席や助手席に座った際に、十分な快適さを感じられる設計となっています。
軽自動車のメリットとは?
税金面でのメリット
軽自動車では主に「軽自動車税」「自動車重量税」「自動車取得税」という3つの税金が課せられます。
軽自動車税
軽自動車税とは、毎年軽自動車の所有者に課税される税金です。
支払う税金額は市町村ごとに異なりますが、東京都ならば7,000~13,000円となります。
普通車に対しても自動車税として毎年課税されており、東京都では普通車(2,000~2,500cc以下)に対して約44,000円の税金がかけられます。
自動車重量税
自動車重量税とは車検証の交付・更新の際などに支払う税金になります。
自動車の重量や所有期間、使用用途などによって支払う金額が異なるのが特徴です。
例えば、軽自動車(重量1トン未満)の場合、支払う税金の額が約16,000円なのに対し、普通車(重量1.5~2.0トン未満)の場合、支払う税金の額は約33,000円となります。
環境性能割(自動車取得税)
また、環境性能割という軽自動車・普通車に関わらず、自動車の購入時に取得価額に対して課税される税金もあります。
以前は自動車取得税という名目で課税されていましたが、2019年10月より環境性能割に変更されています。
環境性能割では、自動車の燃費性能に応じて課税され、環境によい車を優遇するような処置がとられています。
例えば、電気自動車にかけられる税率は0%となっており、普通車は0~3%、軽自動車は0~2%の税率となっています。
軽自動車は普通車に比べて発生する税金額が少なく、税金面でのメリットがあるといえるでしょう。
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近年は環境への影響を踏まえた税制優遇制度も
近年では、世界的な環境問題への取り組みを受けて、日本でも環境にやさしい自動車に対する税制優遇制度が設けられています。
例えば、エコカー減税やグリーン化特例、先ほど紹介した環境性能割などが税制優遇制度として挙げられます。
エコカー減税は、燃費性能が高く排気量の少ない自動車に対して自動車重量税を減税する制度です。
主に電気自動車やハイブリッド自動車、天然ガス自動車などがエコカー減税の対象となっています。
また、軽自動車でも燃費性能の高い車種についてはエコカー減税の対象となります。
グリーン化特例はエコカー減税と同様に燃費性能の高い自動車に対する税制優遇制度であり、自動車税・軽自動車税を減税します。
グリーン化特例の対象となった場合、軽自動車税が約75%ほど軽減されます。
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運転面でのメリット
軽自動車はコンパクトなサイズのため、運転のしやすさが魅力です。
都市部や狭い道路での運転時には、車体の小ささがメリットとなり、離合や車線変更が容易です。
また、燃費の向上にも寄与し、狭い道路や渋滞時でもスムーズに移動できるため、運転時のストレスが軽減されます。
駐車面でのメリット
特に、都市部などでの駐車場の確保は困難な場合がありますが、軽自動車はそのコンパクトなサイズのおかげで駐車が容易です。
軽自動車は狭い駐車スペースにも収めやすく、最近では軽自動車専用のパーキングも増えてきています。
軽自動車でも排気量を増やしてよいのか?
税金面での優遇がある軽自動車を利用する人の中には、「もう少しエンジン性能が高ければ」と考える人もいるかもしれません。
確かに軽自動車の排気量を増やせばエンジン性能は向上します。
しかし、現状は軽自動車の規格で排気量に制限がかけられているため、排気量を増やすことはできません。
時代とともに排気量が増え続けているのであれば、環境問題を無視して考えると軽自動車でも排気量の制限を緩めるべきという意見もあります。
一方で、もし軽自動車の排気量を増やし、エンジン性能を普通車に近づけるのであれば、税金面でも普通車と同様の扱いをしなければいけません。
これでは、軽自動車を利用する人の税負担が増えてしまうため、反対の声が出ることも予想されます。
まとめ
この記事では、軽自動車の排気量やサイズ規格との関係などについて紹介しました。
軽自動車はサイズや排気量など、細かい部分まで規格によって定められています。
排気量の設定によって、軽自動車の排気量は660cc以下と決められており、細かい規格は普通車と明確に区別するために設定されています。
これらの基準によって、軽自動車は課せられる税金が普通車よりも低くなっています。
これらの各種優遇制度を維持するため、今後も軽自動車の排気量規格が大きくなる可能性は低いと考えられます。
今後の軽自動車のあり方や制度について、注視しておきましょう。