車の名義変更に必要な書類はどこでもらえる?手続きの流れも解説
自動車の所有者が変わる場合、名義変更手続きが必要で、その手続きを怠ってしまうと、罰金やトラブルに発展してしまう可能性があります。
しかし、車の名義変更と言われても何をすればいいのかわからない方もいらっしゃるでしょう。
本記事では、車の名義変更に必要な書類にはどのようなものがあるのか?
また、手続きの流れや注意点について解説しますので最後まで読んでしっかりとした理解を深めましょう。
自動車の売買はあまり頻繁に行うものではないので、ストレスが溜まりますが、少しでもスムーズな手続きの流れを把握することで余計なストレスを減らしましょう。
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INDEX
自動車の名義変更とは
名義変更とは、車の所有者が変わった際に行う手続きのことで、正式には「移転登録」といいます。
名義変更が発生するのは中古車を譲り受けた場合か、購入した場合です。
しかし販売店で中古車を購入した場合は、販売店側で手配などをしてくれる場合がほとんどのため、一般的には馴染みが薄いといえるでしょう。
一方、家族や知人から車を譲り受けた場合や、ネットオークションなどで車を購入した場合には、必ず名義変更手続きをして車の所有者登録情報を変更する必要があります。
名義変更がされていない状態では、車を使用することはできるものの、車検や廃車の手続きをすることができません。
名義変更の手続き方法とその流れについて
名義変更手続きをする場合には、車を新たに使用する住所を管轄する運輸支局(軽自動車の場合は軽自動車検査協会)に必要書類を提出する必要があります。
名義変更の流れとしては、主に下記のようになります。
- 必要書類の準備
- 新所有者の管轄地域の陸運局(軽自動車検査協会)へ行く(ナンバー変更が必要な場合は車も必要)
- 窓口で手数料納付書・申請書を入手
- 手数料分の印紙を購入
- 申請書を作成
- 申請書を提出
- 新しい車検証の交付
- 自動車税・自動車取得税の申告
- 交付窓口に古いナンバープレートと新しい車検証を渡す(管轄地域が変わる場合のみ)
- 新しいナンバープレート受取・封印(管轄地域が変わる場合のみ)
- 手続き終了
書類によっては、発行に時間がかかるものもあるため事前に準備しておくことが重要です。
また、名義変更手続きは車の受け渡しが行われた15日以内に行わなければならないと定められているため、自分で名義変更をする場合はスケジュール管理が非常に大変なものとなります。
さらに、運輸支局は基本的に平日しか開庁していない上に、車庫証明を受けるための警察署窓口も平日しか受け付けていません。
そのため、平日の日中に仕事をしている方には手続きをするのが難しいといえるでしょう。
もし平日に自分で名義変更することが難しい場合は、自動車販売店や行政書士などに相談するか「ワンストップサービス」をうまく活用すると良いでしょう。
ワンストップサービスとは、インターネット上で名義変更などの自動車保有関係手続きができるサービスです。
車庫証明書の申請や、運輸支局での書類作成、手数料の支払い、納税などの煩雑な手続きをオンライン上で行うことができます。
一部地域を除く多くの都道府県で利用ができるため、自分の住む土地ではどうかを確認してみると良いでしょう。
必要な書類に関しては次の章で詳しく解説します。
車の名義変更の際に必要になる6つの書類
車の名義変更を行う際に必要な書類は6つあります。
1.自動車の保管場所を証明する「車庫証明書」
車庫証明書の正式名称は「自動車保管場所証明書」といい、自動車を保管する場所があることを証明する書類です。
車の購入時、引っ越しなどによって保管場所が変わった際には、車庫証明書の手続きが必要です。
車庫証明書の発行は車の販売店に依頼することもできますが、費用が発生するため自分で手続きを行うのがおすすめです。
車庫証明書を取得するには、車の保管場所を管轄する警察署の窓口で「保管場所証明申請手続」という手続きを行います。
車庫証明書発行申請に必要な書類は以下の4点です。
- 自動車保管場所証明書申請書
- 保管場所標標章交付申請書
- 土地使用に関する権利関係を証する書面
- 所在図・配置図
自治体によりますが、2,500円〜3,500円ほどの費用がかかります。
車庫証明書を取得しない場合は、10万円以下の罰金、虚偽の保管場所を届け出ている場合は、20万円以下の罰金が科せられます。
車庫証明書の発行には約1週間かかるため、申請と受け取りの2回警察署にいく必要があります。
余裕をもって申請をしましょう。
関連記事:車庫証明書の書き方!必要な書類と車庫証明の注意点を解説
2.実印を証明するための「印鑑証明書(カード)」
印鑑証明書は、市区町村役場に登録された印鑑を公的に証明する書類で、正式名称は「印鑑登録証明書」です。
実印登録は、自治体の役所にて個人が行えるため、正規の実印であることを他人が確かめるためにも印鑑証明書が必要となるのです。
車の名義変更には実印が必須であるため、必然的に印鑑証明書も用意しなければなりません。
印鑑証明書を取得するにはあらかじめ印鑑登録をする必要がありますので、実印を持っていなければ、用意しなければなりません。
代理人が手続きを行うこともできる上に、マイナンバーカードがあればコンビニでも発行可能な自治体もあります。
自治体によりますが、印鑑証明書の発行手続きには一般的に300円かかります。
また、効力も発行してから3ヶ月と長くはないので、以前印鑑証明書を取得していても3ヶ月経過しているのであれば発行してもらう必要があります。
2023年4月1日から本格的に押印の廃止が進んでいますが、印鑑証明書の提出が必要な場合は、今までに引き続き印鑑証明書が必要となります。
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3.譲渡を証明する「譲渡証明書」
譲渡証明書は、以前の所有者から新しい所有者に自動車が譲渡されたことを証明する書類で、正式名称は「自動車譲渡証明書」といいます。
譲ると表記されていますが、中古車販売店から中古車を購入する場合や、個人間で自動車を譲渡する場合、廃車の手続きを依頼する場合に必要となります。
譲渡証明書には、車両情報や新旧両名の使用者の住所及び氏名、譲渡日などを記入します。
実印欄には旧所有者のみ押印し、新所有者が押印する必要はありません。
譲渡証明書は、運輸支局の窓口または国土交通省の公式サイトから入手できますが、運輸支局の窓口は基本平日の日中にしか対応していません。
国土交通省のサイトからダウンロードする場合は、自分で印刷をして記入をする必要があります。
譲渡者(旧所有者)がボールペンで記入しますが、内容に不備や記入漏れがないよう注意しましょう。
関連記事:車の譲渡証明書とは?記載項目や注意点などを徹底解説!
4.手続きを代理でしてもらうための「委任状」
委任状とは、本来当事者本人が行うはずの手続きができない場合に、第三者が代理人として手続きを行えるようにするための書類です。
委任状は、国土交通省のホームページからダウンロードできますので、印刷してから必要事項を記載し、実印を押印します。
車の名義変更においては、用途によって誰が委任者(手続きを依頼する人)で誰が受任者(手続きをする人)になるのか間違えないように注意する必要があります。
名義変更を販売店に依頼する場合
- 委任者:自分
- 受任者:販売店
名義変更を自分で行う場合
- 委任者:旧所有者
- 受任者:自分
また、委任状を用意する際は、受任者の情報に記入漏れや間違いがないかも確認しましょう。
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5.車検の完了を証明する「車検証」
車検証は、正式名称を「自動車検査証」といい、車検が完了していることを証明するための書類です。
公道を走るすべての車を対象に検査し、国が定めた保安基準を満たした車に対して車検証が交付されます。
名義変更の際にはコピーではなく原本が必要ですが、車検証は自動車を使用する場合は必ず携帯しておかなければなりません。
車検証の不携帯は違反行為となりますが、しっかり車内に保管しておけば問題ないでしょう。
車検証は、自動車の権利関係や課税関係についても明らかにする役割があります。
たとえば、車検証に記載される「所有者」は、その自動車の所有権を誰が持っているのかを示しているので、名義変更の際に必要になります。
なお、名義変更の際に自賠責保険証明書は必要ありませんが、自賠責保険証明書は車検の際に欠かせないため、必ず旧所有者から新所有者へ受け渡しが必要です。
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6.陸運局で記入する「手数料納付書」「自動車税申告書」「申請書」
「手数料納付書」「自動車税申告書」「申請書」は名義変更の際に陸運局にて必要な書類です。
事前に必要な準備は特になく、名義変更当日に陸運局にて記入します。
なお、相続による名義変更や、50万円未満の自動車の売買などの場合、環境性能割は課税されません。
手数料納付書と申請書には収入印紙代として費用が発生するため注意が必要です。
手数料納付書に貼付する収入印紙代として500円、申請書には20~100円程度の費用が発生するため、名義変更当日、用意がないということにならないよう念頭に置いておきましょう。
車の名義変更手続きは5つのステップ
車の名義変更を自分で行う場合、大きく5つのステップを踏んで手続きを行います。
ここからは、それぞれ詳しく解説します。
1.必要書類を揃える
まずは、警察署や自治体の役所にて必要書類の発行申請を行い、必要書類を揃えます。
名義変更には、新所有者・旧所有者の両者に必要書類があり、それぞれ用意する書類が違います。
新所有者が用意する書類
- 車庫証明書
- 実印
- 印鑑証明書
旧所有者が用意する書類
- 自動車検証
- 委任状
- 印鑑証明
- 譲渡証明書
ちなみに、上記の書類を発行するには1週間程度時間がかかります。車庫証明書がどうしても1週間は必要なためです。
名義変更時は早めの申請を心掛けましょう。
関連記事:軽自動車を相続したらどうすればよい?名義変更など必要な手続きを解説!
2.運輸支局で新たに書類を入手し作成、提出する
次に、運輸支局にて「手数料納付書」「自動車税申告書」「申請書」を入手し、記入します。
これらの書類は、運輸支局窓口にて入手できますが、申請書については国交省のWebサイトからもダウンロードでき、前もって準備しておくことも可能です。
書類を作成した後は、あらかじめ用意した必要書類と一緒に窓口へ提出します。
名義変更は必要書類が多いため、不備がないか提出前に確認が必要です。
3.車検証を交付してもらう
必要書類を提出した後は、運輸支局窓口にて名義変更後の所有権が移った車検証が交付されます。
車検証には、以下のような記載事項があります。
- 車両の識別情報(車名、型式、車台番号、原動機の型式)
- 所有者、使用者の氏名・住所
- 車検の有効期間
- 車検の種類(継続検査、新車検査、構造変更検査など)
- 車検を受けた検査機関
車検証を受け取ったら、内容に記載漏れや新規所有者の氏名や住所に間違いがないか、その場で必ず確認するようにしましょう。
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4.税金を申告し納付する
車検証交付後、運輸支局内にある自動車税事務所窓口に、車検証と自動車税申告書を提出し納付します。
税金申告を忘れると、自動車税納税通知書が旧所有者に送られす可能性があります。
さらに、自動車税納税通知書の住所変更の手続きは、変更になった日から15日以内に行わなければなりません。
トラブルに発展しないように必ず申告・納税しましょう。
関連記事:普通車の税金はいつ支払う?納付時期や延滞のリスクも解説
5.ナンバープレートの変更手続きをする
管轄する運輸支局が変わる場合や、自分の好みのナンバープレートに変えたい場合、ナンバープレートの交換も行わなければなりません。
まずは車のナンバープレートを自分で外し、運輸支局内にある返却窓口に返却します。
その後、ナンバープレート交付窓口にて新しいものを購入して取り付けます。
ナンバープレートの付け外しに必要な工具は運輸支局にて貸出を行っているため、用意する必要はありません。
関連記事:車のナンバー変更前に確認!変更手続きの流れと必要なものを紹介
親子間での車の譲渡のときも、車の名義変更は必要
この記事を読んでらっしゃる方の中には、ご両親から車を譲ってもらうケースもあるでしょう。
親子間での車の譲渡のときも、名義変更の手続きは必要です。
さらに、自動車本体の名義変更だけではなく、自賠責保険や任意保険の名義保険も同時にする必要があります。
親子間の車の名義変更で必要な手続きを整理すると、以下3つです。
- 車検証の名義変更
- 自賠責保険の名義変更
- 任意保険(自動車保険)の名義変更
自賠責保険は、強制的に加入する必要があります。
したがって、必ず自賠責保険の名義変更も行いましょう。
また任意保険の名義変更を怠ってしまうと、万が一事故が起きた際、保険がおりない可能性も。
こちらも忘れずに名義変更を行いましょう。
車の名義変更をするときの必要な書類
車の名義変更をするときに必要な書類は、以下です。
●普通車の場合
必要書類 | 備考 |
譲渡証明書 | 旧所有者の実印の押印が必要 |
印鑑証明書 | 新所有者・旧所有者分必要。発行後3ヶ月以内 |
実印 | 印鑑証明書と同じもの |
車検証(自動車検査証) | |
車庫証明書 | 親子が別居の場合のみ必要 |
委任状 | 新所有者・旧所有者のどちらかが窓口に行けない場合、もしくは第三者に手続きをする場合のみ必要 |
ナンバープレート | 使用の本拠地に変更がある場合に必要 |
●軽自動車の場合
必要書類 | 備考 |
新所有者の住所がわかる書面の写し | 住民票の写し(マイナンバーが記載されていないもの)もしくは、印鑑証明書 |
車検証(自動車検査証) | |
ナンバープレート | 使用の本拠地に変更がある場合に必要 |
普通車と軽自動車のときで、必要な書類が異なります。
譲り受ける車は、普通車と軽自動車どちらなのかをしっかり確認しましょう。
また実印は、印鑑証明書に押印されているものになります。
さらに印鑑証明書の有効期限は、発行後3ヶ月以内です。
こちらも注意が必要です。
車庫証明は、譲渡する親子が同居している場合は、準備しなくて問題ありません。
車の名義変更をするときの、自賠責保険の名義変更方法は?
自賠責保険の名義変更は、加入している保険会社に問い合わせてみましょう。
必要な書類を教えてくれたり、郵送してくれます。
車の名義変更をするときの、任意保険の名義変更方法は?
任意保険の名義変更も、自賠責保険と同様に、加入している保険会社に問い合わせてみましょう。
また任意保険の名義変更をする際、契約者が変わっても保険の等級を引き継ぐことが可能です。
こちらも併せて確認するといいですね。
車の名義変更をする際の注意点
車の名義変更は早めに行う必要があります。
なぜなら、名義変更を行う期間は、道路運送車両法によって所有者が変わってから原則15日以内と定められており、名義変更を忘れてしまうと50万円以下の罰金が科せられてしまう可能性があるためです。
また、名義変更を怠ることで、自動車税納税通知書などの車に関する書類が届かないことや、交通事故の際にトラブルに発展する可能性もあります。
自動車税納税通知書は車の所有者に送られますが、名義変更を行っていないことで通知書が手元に届かず、滞納してしまうケースも少なくありません。
さらに、名義変更を行わずに交通事故を起こしてしまった際には、その責任を車検証に記載がある所有者が負わなければならないケースもあります。
トラブルや罰金を避けるためにも、名義変更はなるべく早めに対応しましょう。
親子間で車の名義変更をするときの3つの注意点
親子間で車の名義変更をするとき、以下について注意が必要です。
- 名義変更の手続きは平日のみ可能
- 贈与税が発生するケースあり
- 別居の場合は車庫証明が必要
注意①:名義変更の手続きは平日のみ可能
車の名義変更の手続きは、運輸支局や軽自動車検査協会にて行います。
これらの施設は、平日しか営業しておりません。
さらに営業時間も、9時〜16時などと夕方には閉まってしまいます。
営業時間やご自身のスケジュールと調整しながら、手続きにいきましょう。
注意②:贈与税が発生するケースあり
車の使用用途が通学や通勤、日常生活における移動手段の場合、贈与税は発生しません。
しかし、譲渡される車が高級車の場合、贈与税が発生するケースがあります。
注意③:別居の場合は車庫証明が必要
別居している親子間で車の名義変更をする場合、車庫証明が必要になります。
車庫証明は、警察署で取得可能です。
別居している親子の方は、忘れずに車庫証明を取得しましょう。
別居している方は、忘れずに準備しましょう。
まとめ
車の名義変更は、必要書類が多く、準備だけでも多くの工数がかかるため面倒に思う方も少なくありません。
しかし、名義変更を怠ると、罰金や旧所有者とのトラブルに発展してしまう可能性もあるため、後回しにしないことが大切です。
車の名義変更をする場合は、早めに対応するよう心掛けましょう。