リース車の又貸し(転貸)は法律上問題ない?又貸しした場合は違法である可能性が!
カーリースとは、決まった料金を月々支払うことで、好きな車を契約した期間乗れるサービスのことを指します。
車検や車両本体価格、保険料、メンテナンス費用などが含まれているため、気軽に車を借りられるのがカーリースの魅力の一つです。
そんなカーリースですが、借りている車を第三者に貸す(又貸し)行為は法律上問題ないのでしょうか。
今回は、リース車の又貸しが法律上問題なのかどうかについて解説しますので、リース車を又貸ししてもよいのか疑問に考えている人は、ぜひ参考にしてください。
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リースした車を又貸しする行為は法律上問題ない?
結論として、契約規則に反して無断で第三者に又貸しする行為は法律違反になります。これは民法612条「賃借権の譲渡及び転貸の制限」で以下のように明文化されているためです。
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。2 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
引用元:民法612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
上記の「賃貸人」は不動産に関する会社のみと考える人も多いですが、カーリース事業を営む会社などにも該当します。
そのため、契約者本人がほとんど運転せずに、又貸しした場合は違法に当たるのです。
加えて、強制的に解約させられる可能性もあります。
なお、契約規則で又貸し(転貸)が禁じられている旨が記されていることが前提のため、又貸し行為を許容しているリース会社であれば法律違反に当たりません。
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リース契約の規則における又貸し行為の取り扱い
リース車を無断で又貸しする行為は認められていませんが、契約者以外が運転する行為自体は禁止されていません。
ここでは、契約規則における又貸しの取り扱いについて紹介します。
契約規則では又貸し(転貸)を認めてないケースが一般的
どのリース会社においても、第三者への又貸しは禁止と契約規則で定められているのが一般的です。
そのため、基本的に契約者が又貸しした時点で法律違反になると考えてよいでしょう。
また、諸事情によりリースした車を一定期間運転しない場合、車の状態維持を目的として家族や友人に運転してもらいたいと考えても、又貸しになる恐れがあり、対処に困惑するケースもあるでしょう。
その場合は、必ずリース会社に事情を話して、どのような対処をするべきかのアドバイスや他者が一定期間乗ることについて問題ないかの確認を取ることをおすすめします。
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リース会社によっては家族に限り又貸しを容認しているケースも
一部のリース会社では、「家族に限り又貸しを認める」という規則を定めている場合があります。
その場合、リース車を又貸しする行為は家族に限り問題ないということになります。
ただし、万が一又貸しした家族が事故を起こした場合は、保険金が下りるのかといった任意保険に関する問題が発生する可能性があることは念頭に置いておきましょう。
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リースした車を共同で使用するのはよい
契約規則で又貸しが禁止と定められていても、家族同士でシェアしたり、運転を道中に交代したりする程度の共同使用は問題ないとされています。
つまり、一般的には完全に貸与する「又貸し」が禁止されているだけであり、家族や友人が自身のリース車を運転するという行為自体は違反には該当しないケースが大半です。
厳密にいえば、契約者ではない人がリース車を運転していたとしても、それがすぐにリース会社にばれることは考えにくいことから、違反に該当する可能性が低いといえます。
また、運転を交代する行為などは頻繁に行われていることが想定されるため、厳格な取締りを行い始めたら売上にも影響しかねません。
そのため、主に契約者以外に運転させる行為が常態化したケースや、契約者以外の運転時に事故が起きたケースなど、あまりにも黙認できないケースが強制解約の対象となるといえます。
ただ、あくまで程度問題であるため、状況を見た人によって契約の範囲内なのか、範囲外なのかが異なります。
又貸しを疑われるような行為はもちろん、契約者以外の人が運転するときは、事故や違反、故障などのトラブルを起こさないように注意して運転しましょう。
ほかにも、契約者以外の人が事故を起こした場合は、車の修理をできるのかといった契約上の問題にも関わるため留意が必要です。
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リース車を家族に又貸し(転貸)する場合の3つの注意点
リース会社によっては家族間に限り又貸しできると説明しましたが、実行する場合にはいくつか注意点があります。
ここでは、家族間の又貸しについてどのような注意点があるのか見ていきましょう。
1.汚損や破損には気を付ける
リース車を契約者以外が運転する場合は、車の汚損・破損に注意して運転しましょう。
リース車の返却時には、残価精算を行います。
残価とは「残存価格」の略称で、契約満了時の車の価値のことを指します。
リース車の契約満了で返却する際に、契約のときに設定している残価と実際の査定価格を相殺することが残価精算です。
仮にリース車を汚損・破損してしまった場合は、残価精算時に車の価値が予定していた価格よりも下がり、追加で料金を請求される可能性があります。
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2.過度な長距離走行には気を付ける
家族に又貸しする場合は、契約時に設定する走行距離の数値についても注意しなければなりません。
そもそも契約時に走行距離の数値を設定する理由としては、走行距離が長いほど劣化の進みが速くなり、車の価値が下がってしまうためです。
リース車の走行距離が設定した数値を超えてしまうと、残価精算時に追加料金が発生する場合もあります。
契約者だけで使用する分には走行距離を超えるリスクは抑えられますが、契約者ではない人も運転する場合には数値に気を付けてください。
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カーリースの走行距離制限とは?超過したらどうなる?
3.任意保険の補償内容に注意する
リース車を家族に又貸しする前に、任意保険の補償内容はよくチェックしておく必要があります。
契約者ではない人の運転で事故が起きたときは、保険金が下りない場合があるためです。
任意保険の補償範囲を設定する際には運転者に関する項目があり、この項目によって補償が下りる範囲が変わってきます。
主に「運転者を限定しない」「家族間・夫婦で限定する」「運転者本人だけに限定する」といった選択肢があり、運転者本人だけに限定していた場合などは家族が事故に遭遇しても補償が下りません。
また、運転車の年齢制限によっても補償範囲が異なることから、必ず補償内容を確認した上でリース車を貸与しましょう。
\ポチモのお役立ち情報(外部リンク)/
カーリースの任意保険って本当に必要?補償内容や料金プランを比較して判断しよう
リースした車の使用者は変更可能?
なかには「又貸しが禁止ならば使用者を変更しよう」と考える人もいるでしょう。
ここでは、カーリース契約において使用者を変更できるのかについて解説します。
なお、リース契約において、使用者と契約者は同一であることが原則であることは覚えておきましょう。
原則リース車の使用者の変更は不可
結論として、原則リース車の使用者は変更できません。たとえ使用者本人が変更を希望したとしても難しいです。
リース車はあくまでリース会社が名義人(所有者)であることから、契約を結んでいる間は返済の義務があります。したがって、リース会社が許可しない限りは、使用者の変更が不可能です。
とはいえ、残価精算を終えた後で車を買い取る契約をしていた場合は、名義人とともに使用者の変更が可能です。
自分の所有車にすれば、売却や譲渡も自由に行えます。
関連記事:譲渡証明書を自分で書く方法は?必要なケースや書類を紹介
使用者を変更できるケース
基本的にリース車は、残価精算を終えていないと買取できません。
つまり、契約満了するまでは所有できないため、使用者の変更は不可です。
ただし例外として、以下の3つの理由のどれかに当てはまる場合は使用者の変更が可能になります。
- 氏名が変わった場合
- 契約者が死亡した、または長期入院する場合
- 海外に引っ越す場合
氏名が変わる場合として、結婚や離婚などがあります。
これらの場合は車検証などの書類上の氏名表記が変わるだけであるため変更可能ですが、念のためリース会社に確認してから手続きしましょう。
また、使用者が死亡した、または長期入院したケースや海外に引っ越すケースも変更が許可される可能性があります。
ただし、リース会社によって判断は異なり、強制解約となるケースもあることから、必ず名義変更ができるわけではないことは覚えておきましょう。
仕事の関係などで海外や遠方へ転勤することが考えられる場合は、契約期間を短めにするといった対策をしておくのが望ましいです。
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まとめ
基本的にリース車の又貸しは原則禁止です。しかし、常識の範囲内で共用する分には問題ないケースがほとんどです。
また、リース会社によっては家族にのみ又貸しを容認しているケースもあります。
ただし、実際に又貸しをする場合、この記事で紹介した汚損や破損、走行距離をはじめ、加入している任意保険における注意点は覚えておきましょう。
「リース車の又貸しが禁止なら使用者(契約者)を変更しよう」と考える人もいるかもしれないが、原則名義人は変更できません。
例外となるケースもありますが、強制解約になる可能性も否めないため、リース会社に確認したり、事前に対策したりすることが重要です。
リース車を又貸ししても大丈夫なのか気になっている人は、この記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。