中古車の価格高騰いつまで続く?値上がり背景やお得に購入するコツを解説
2020年より始まったコロナ禍の影響につづき、ロシア・ウクライナ戦争により、世界的に不安定な経済状況が続いています。
これによって、中古車の価格は高騰しており、なかなか値下げの動きが見られません。
この記事では、中古車の価格が高止まりしている理由や今後の中古車の価格の見通しに加え、お得に中古車を購入するコツについても紹介します。
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INDEX
中古車の価格が今高いのはなぜ?
中古車の価格が今高い理由には、世界情勢を始めとした日本を取り巻く環境が関係しています。
中古車が高い理由について、詳しく解説します。
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コロナ禍における物流や製造の混乱
中古車の価格高騰は、物流や製造が混乱したことにより、新車の納車に時間がかかっていることが大きな要因の一つです。
2020年の春頃から本格的に流行した新型コロナウイルスの影響により、新車の製造工程がスムーズに進まず、納車まで数年単位の時間を要するケースも発生しました。
そのため、車を今すぐ欲しいという人が、中古車を求めるようになり、その結果中古車の価格が上がりました。
また、人気車において生産の目処が立たない状況が続いています。
受注を停止しているような車では、中古車市場で投機的な動きも発生しています。
こうした動きも、価格上昇に拍車をかける一因となっています。
世界的に続く半導体不足
コロナ禍による物流の混乱に加え、世界的な半導体不足も中古車の価格が高くなった要因の一つです。
近年販売されている多くの車には、電子制御のための部品が使用されています。
特に操縦アシストや安全装置などには、高度な半導体が多数必要となります。
新車の製造にあたって多くの半導体が必要である一方、コロナ禍によって世界的に半導体の供給が滞っています。
さらに、2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まったことで、半導体などを作る工場の閉鎖などが相次ぎ、半導体不足がより深刻な事態となりました。
一方で、大手半導体企業TSMCが日本に初上陸し、半導体の大量製造の基盤作りが始まっています。
TSMCの熊本の工場では、2024年末には半導体の製造が開始される見込みです。
またアメリカ・中国でも半導体の大量製造に着手しており、この問題は解消に向かいつつあるとの見込みです。
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ウクライナ危機による石油価格の高騰
ウクライナ危機により石油の価格が高騰したことも中古車の価格が引き上げられた原因の一つです。
石油はタイヤやオイル、バッテリーの生産に必要不可欠なものであるため、価格が上がると自動車の製造にかかるコストも比例して増加します。
新車の製造にコストがかかると量産が難しくなるため新車の数が減少した結果、すぐ手に入る中古車への需要が高まり、価格が高騰しました。
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円安で高まる海外からの中古車の需要
2022年より急激に進む円安も、中古車の価格高騰の要因の一つです。
日本の中古車はもともと海外での人気が高く、円安によってさらに需要が増えています。
例えば、1ドル100円のとき、アメリカで100万円の中古車を購入するには10,000ドルが必要でした。
しかし円安が進み、1ドル150円になることで、100万円の中古車が約6,666ドルで購入できるようになります。
また、日本では過走行とも言われる10万キロ走った中古車も、海外ではまだまだ走る車として重宝されます。
日本人は丁寧に車を使う人が多いため、日本の中古車は質が高いと評価されています。
以前より海外で人気のあった日本の中古車でしたが、円安を追い風とした海外需要の増加により、中古車の価格の高止まり状態を作っていると考えられます。
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アメリカの「25年ルール」
アメリカの車は左ハンドルであり、右ハンドルの車は登録・走行ともに原則禁止とされています。
しかし、製造後25年を経過している車は例外的に認められています。これが「25年ルール」と呼ばれる特殊なルールです。
例えば、2000年に製造された車であれば、2025年にアメリカで販売が解禁されます。
特に1980年〜1990年代の日本のスポーツカーはアメリカで非常に人気が高く、それが中古車の価格高騰に繋がっている可能性もあります。
日本国内の旧車愛好家たちにとって、日本にいながら価格高騰が避けられないという悲しい事態を引き起こしており、しかもこの「25年ルール」がなくならない限りは、この傾向が今後も続くでしょう。
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中古車の価格はどうやって決まるのか?
中古車の価格値上げを続ける要因として、価格の決まり方が関係しています。
ここでは、中古車の価格がどのように決まるのかについて解説します。
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需要と供給のバランス
中古車の価格は、需要と供給のバランスによって決まります。
新車の価格は各メーカーが設定した金額を基に顧客が購入を検討する形となりますが、ここにはメーカーが供給する車の品質が一定であるという前提があります。
一方で、中古車は一台ごとに状態が異なるという性質を持っているため、同じ車の中古車であっても各車の状態や市場に出回っている総数によって価格が変化します。
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シーズンやガソリン価格の影響
中古車の価格は、購入するシーズンやガソリン価格にも影響されます。
例えば、入学や就職、転勤等で中古車需要が増える3月末は、人気車であれば価格が高くなることがあります。
また、オープンカーやキャンピングカーなど特定のシーズンに需要が高い車は、シーズン前の時期に価格が高くなります。
その他にもガソリン価格が高騰した場合、ハイブリッド車の需要が高まるケースもあります。
中古車の価格は、複合的な要因で価格が変動するのです。
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中古車市場の見通し
中古車の価格の高止まりは、今後もしばらく続く可能性が高いと考えられています。
2024年8月時点では半導体不足も解消に向かっています。
しかし、長引くロシア・ウクライナ戦争による世界的な生産、物流の混乱は続いているように思います。
また、燃料価格の高騰が物価や製造コストに影響を与えており、新車の販売価格が上がる可能性も高まっています。
そのため、新車ではなく中古車を求める層がさらに増え、中古車の価格の高止まりにつながると予想されます。
高騰中に中古車を買うコツとは?
中古車の価格は高騰中ですが、なるべく費用を抑えて購入する方法があります。
ここでは、高騰中の中古車を少しでも安価で手に入れるための重要なコツを紹介していきます。
旧モデルを選ぶ
フルモデルチェンジした車種については旧モデルが値下がりする傾向にあります。
そのため、比較的安価で自動車を購入したい場合は、フルモデルチェンジした車種における旧モデルが狙い目となります。
旧モデルであっても性能の高い車は多く、種類も豊富であることから自分に適した自動車を選択することが可能です。
残価設定ローンで手放された車
残価設定ローンとは今後車を買い替える際に残る下取り価格のことであり、設定年数は3年・5年・7年があります。
中でも残価設定ローン5年は新車の車検に向けて設定する人が多い傾向にあり、車の状態も良いためおすすめの中古車といえます。
3〜7年落ちの車
年数落ちの中古車を選ぶ方法も、お得に中古車を購入する手段の一つです。
年数が新しいほど自動車の性能や内装などは比較的新品に近い状態ですが、それに伴い販売価格も高くなります。
7年落ちの自動車は安価ではありますが、状態が良くないものもあるため、購入の際は実際に試乗してみるなど細かく確認しながら検討を進めましょう。
中古車のおすすめ4台を紹介
自動車の種類はニーズに合わせて多種多様にラインアップさせており、何も指標がないままであればどれを選べばよいのかで迷うことになります。
特に中古車を選ぶときは確認すべき条件が多いため、頭を抱える人は少なくありません。
ここでは、中古車で購入するにあたってのヒントとなるよう、おすすめの車を4台紹介していきます。
走行性と車内の快適さを堪能できるSUVのマツダ CX-5
CX-5はマツダが製造と販売を行っているSUV車両です。
SUVらしいたくましい外観のデザインと充実した内装が基本スペックとして装備されており、シートは長時間の運転でも疲れにくく、長距離のドライブでも快適に運転できます。
SUVであるためアウトドアやレジャーで活躍する場面も多く、必要な準備をすることで車中泊もできます。
2021年11月に大幅改良したことにより、旧モデルが出回っている可能性があります。
関連記事:CX-5の燃費はどのくらい?他車との燃費比較や走行性能を解説!
コンパクトなサイズで使いやすいハッチバックのホンダ フィット
フィットはホンダが製造と販売を行うコンパクトカーであり、ホンダのラインアップの中でもトップクラスの人気を誇る車です。
外観がコンパクトでありながら車内空間は広々としており、長距離の運転でも普段使いでも快適に乗りこなすことができます。
2022年にモデルチェンジを行っていたり、新モデル「FIT RS」の販売により、旧モデルが出回る可能性がありますが、旧モデルでも車内の快適性と走行性能は高い水準を誇ります。
関連記事:フィットの走行性能や燃費、内装を調査!新モデル「FIT e:HEV RS」も!ソニーとタッグでどうなる?
アウトドアにも街乗りにも活躍するスズキ ジムニー
ジムニーはスズキが製造と販売を行うアウトドア仕様の軽自動車です。
誕生してから50年以上経ち、いまだに多くの人から愛される車です。
外観はがっしりとしていますが、車内は機能性にこだわっているためシンプルであり、2ドアタイプである点も主な特徴として挙げられます。
2021年、2022年にマイナーチェンジを行っており、新型を欲しがっている方が売っている可能性はあります。
元祖ハイブリッドカー プリウス
プリウスは言わずとしれた元祖ハイブリッドカーです。
人気はあるものの、フルモデルチェンジで新型となる5代目が発表され、2023年1月10日にHEVモデル、2023年3月15日にPHEVモデルを発売しています。
4代目から7年ぶりのモデルチェンジということもあり、プリウスファンは手放す節目となる可能性があります。
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まとめ
中古車の需要拡大に伴い、中古車の価格は値上がりした状態が続いています。
中古車の価格上昇が続く背景には、コロナ禍から続く世界的な物流・部品供給体制の混乱によって新車が十分に生産されなくなったことがあります。
加えて、もともと日本車は海外人気があり、円安の影響で需要が高まったことも、中古車の価格上昇要因の一つと言えます。
今後もしばらく中古車の価格が高い状況が続く見込みではありますが、正しく探せばお買い得な中古車を見つけることができます。
中古車の購入を検討される際は、長期的な目線でお得な買い物となるよう、慎重に車を選びましょう。
※この記事は2024年8月14日に執筆しております。